2013 Fiscal Year Annual Research Report
セクレトームに基づくマラリア肝臓ステージの宿主寄生虫間相互作用の解明
Project/Area Number |
25253027
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
油田 正夫 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90293779)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マラリア / トランスクリプトーム / 肝臓ステージ |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の2つ課題のを中心に研究を実施した。 1.RNA-Seq法によるトランスクリプトーム解析 ラットにスポロゾイトを静注し、静注後24時間、36時間、48時間、58時間の各時間においてRNA-Seq法でトランスクリプトーム解析を実施した。24時間はtrophozoiteから初期schizont, 36時間は中期schizont、48時間は後期schizontからcytomere、58時間は成熟merozoiteにそれぞれ相当する。具体的には100万から500万の唾液腺由来スポロゾイトをラットに静注し各時間に肝臓をPBSで還流し摘出後、total RNAを抽出し調製したRNAよりライブラリーを作成した。配列をIonproton systemで解析し,得られた配列データからマラリア原虫及びラットのrRNA, tRNAをフィルタリングして除いた後、マラリア原虫ゲノム配列とラットゲノム配列を合わせた仮想ゲノム上にマッピングした。マラリアゲノム上に60塩基完全マッチでマップされたリードのみを最終的に以降の解析に使用した。本研究によって取得されデータはマラリア原虫の肝臓ステージにおける世界で初めての本格的トランスクリプトームである。 2.構造解析とプロファイリング 次に得られたトランスクリプトームデータに基づき発現プロファイルを解析した。全体のリード数と各遺伝子ORFの長さからRPKM値(Reads Per Kilobase of exon model per Million mapped reads)を算出しデータを標準化した後、遺伝子を発現パターンに従いクラスタリング(グループ分け)を実施した。得られたデータをもとに1. 24時間と36時間で発現ピークを形成する。2.分泌シグナル配列を有する。という2つの条件に従いセクレトームの候補をスクリーニングした。スクリーニングの結果数十個の候補遺伝子を選択することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以上の解析により予定していた全てのステージ(24時間、36時間、48時間、58時間の各時間)において今後の解析に必要な最低限のデータを取得することができた。またクラスター化した遺伝子群の中に以前にEST解析で予測していた分泌蛋白質の遺伝子が含まれていることを確認し、予定したデータが取得されたことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたトランスクリプトームにおいて、他のステージと比較してデータ数が少ないと考えられるものに関しては追加の解析を実施しトランスクリプトームの完成度を上げることを予定している。トランスクリプトーム解析の結果得られたセクレトームに関しては順次肝細胞内への輸送を確認する。またマウスを用いてワクチン抗原となりうるかを検証する予定である。
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