2014 Fiscal Year Annual Research Report
エフェクターと宿主標的分子間相互作用を基軸としたサルモネラ感染分子機構の解明
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25253029
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 友子 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60110342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慶治 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00554586)
高屋 明子 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80334217)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エフェクター / サルモネラ / 宿主応答 / 感染免疫 / 感染生物学 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
サルモネラ感染後の宿主高次機能の多岐にわたる変化は、未同定のエフェクターの存在を強く示唆している。先行研究においてin silicoインタラクトーム解析法を開発し、多数の新規エフェクター候補をリスト化した。本研究ではこれまでにランキング上位の新規分子についてサルモネラ病原戦略上の機能解明に取り組んできた。すでにその中のGogAは、Caspase-8活性化を介して感染宿主細胞の運命を決定するキーエフェクターであることを見出している。今年度は新規エフェクター候補STM1239について、細胞への輸送システムの解明、宿主細胞内標的分子の同定並びに病原機能の解明に取り組み、下記に述べる成果を得た。 1) STM1239は、サルモネラ感染初期に、Salmonella Pathogenicity Island 1 がコードするType 3 secretion systemによって、マクロファージに輸送されるエフェクターであることを明らかにした。 2)マウス脾臓のcDNAライブラリーを用いたYeast two-hybrid 法により、STM1239の宿主細胞内標的分子として、heme-oxygenase (HO-1) を同定した。HO-1 は、C末端で小胞体膜に結合しており、細胞質局在領域が切断されて核に移行し、その機能を発揮する。STM1239はHO-1の小胞体膜結合部位と相互作用することを明らかにした。 3) HO-1は、熱ショックや細菌感染などのストレスにより、核内へ移行しoxidant responsive promotorの活性化を介して宿主防御因子の発現を誘導する。又、サルモネラ感染時にHO-1を阻害すると宿主感染細胞のアポトーシスが誘導されたことから、STM1239はサルモネラ感染初期に、HO-1の小胞体結合部位に作用することで、HO-1の核への移行を阻害し、アポトーシスを誘導し、感染拡大に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新規エフェクター分子STM1239の感染宿主内標的分子が、heme-oxygenase (HO-1)であることを確定し、さらに作用部位がHO-1の小胞体膜結合部位であることを解明したことから、STM1239のサルモネラ感染における機能を推論することが可能となった。すなわちSTM1239は、サルモネラ感染初期にHO-1の小胞体結合部位に作用することでHO-1の核内への移行を阻害し、感染細胞のアポトーシスを誘導すると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の仮説「STM1239は、HO-1の核内への移行を阻害し、感染細胞のアポトーシスを誘導する」を、サルモネラ―マクロファージ感染系を用いて証明する。さらに感染マウスの免疫応答におけるSTM1239の役割を検討する。
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Research Products
(17 results)