2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25253071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川上 敏明 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, チームリーダー (60143418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
松本 健治 独立行政法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー研究部, 部長 (60181765)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / マスト細胞 / Stat5 / TSLP / Periostin / Phospholipase C-β3 |
Research Abstract |
本年度のハイライトは、本プロジェクトの基礎となった論文が2報(1. Ando et al., Journal of Investigative Dermatology, 2014;2. Ando et al., Cell Reports, 2014)発表されたことである。第1の論文では、家ダニ抗原を用いた誘発性アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis, AD)モデルで、強力な皮膚炎発症には、T細胞だけでなくマスト細胞が必要であり、好酸球は不要であることが示された。皮膚炎症部位では、マスト細胞数が増加していて、炎症の重症度とよく相関し、TSLP(thymic stromal lymphopoietin)受容体とIgE受容体(FcεRI)も重要であることが示された。第2の論文では、Phospholipase C-β3(PLCb3) KOマウスでAD様の皮膚炎が自然に発症し、その皮膚炎においても、マスト細胞が増加していて発症に必要であることが示された。PLCb3 KOマウスのマスト細胞が過剰に増殖しているのは、転写因子Stat5の活性が高く、Stat5を不活化するSHP-1の活性が低いことによることが明らかにされた。マスト細胞のStat5の重要性は、上記誘発性ADモデルでも同様であることは、マスト細胞のみでStat5が欠損したマウスを用いて証明された。反対に、SHP-1がマスト細胞で欠損したマウスでは、誘発性ADモデルで重症度が高かった。PLCb3は、ADの発症に重要なTSLPとPeriostinの発現をそれぞれケラチノサイトと繊維芽細胞で制御していることも明らかになった。また、SNP解析により、マスト細胞でStat5の活性を制御するPLCb3とSHP-1をコードするいずれの遺伝子でも、AD患者に有意の遺伝子多型が見いだされた。さらに、半数以上のAD患者で、活性型Stat5が高いマスト細胞が増えていることが明らかになった。従って、マスト細胞でStat5の活性を制御するPLCb3は他の細胞ではTSLPやPeriostinの発現を制御することで、ADの発症に関わっていることが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PLCb3-/-;FceR1a-/-マウス等の二重(又は三重)KO マウスは研究計画に従って、作製されつつある。また、PLCb3fl/fl マウスの作製は順調である。現在、PLCb3 遺伝子をfloxed にしたES 細胞から予想されたゲノムをもつマウスが1系統生まれている。しかし、線維芽細胞におけるPeriostin 発現調節と最適なJak-Stat5 阻害剤を探索する実験は進展していない。 (理由)やや遅れている理由は、1)第2の論文完成のために予想以上の労力と期間を要したこと、2)Jak-Stat5 阻害剤のMTAが相手方(トロント大学)の事情で遅れていること、3)連携研究者である研究員(安藤智暁)の理研着任が2013年10月と遅れたことによる。しかし、来年度からは、遅れをとり戻すことができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の遅れは、研究計画そのものの問題ではなく、外的要因による。従って、以下の実験を強力に施行することで研究を推進したい。1、作製した二重(又は三重)KO マウスの観察を続行する。2、Stat5 を欠損したCKOマウスの作製を続行する。3、ケラチノサイトでのTSLP のPeriostin産生制御のin vitro実験を施行する。4、Jak-Stat5 阻害剤のMTAが終わり次第、誘発AD モデル実験を施行する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Mast cells are required for full expression of allergen/SEB-induced skin inflammation.2013
Author(s)
Ando, T., Matsumoto, K., Namiranian, S., Yamashita, H., Glatthorn, H., Kimura, M., Dolan, B. R., Lee, J.J., Galli, S.J., Kawakami, Y., Jamora, C., and Kawakami, T.
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Journal Title
J. Invest. Dermatol.
Volume: 133
Pages: 2695-2705
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Critical role for mast-cell Stat5 activity in skin inflammation.2013
Author(s)
Ando, T., Xiao, W., Gao, P., Namiranian, S., Matsumoto, K., Tomimori, Y., Hong, H., Yamashita, H., Kimura, M., Kashiwakura, J., Hata, T.R., Izuhara, K., Gurish, M.F., Roers, A., Rafaels, N.M., Barnes, K.C., Jamora, C., Kawakami, Y., and Kawakami, T.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 6
Pages: 366-376
DOI
Peer Reviewed
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