2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25253087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 届出診療医 (40282660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 雄一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30345053)
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30345219)
森崎 裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30508099)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60401064)
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60583119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 整形外科学 / 変形性関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は関節軟骨の構造を規定するシグナルを探索するため、レーザーマイクロダイセクション法とRNAシーケンスを行って部位別発現プロファイルを得たが、今年度は最表層と深層で発現が厳密に制御されているシグナル群を特定し、現在遺伝子改変マウスを複数作成中である。生体が得られ次第、関節軟骨の維持機構について解析を行う計画である。 軟骨内骨化制御シグナルについては、C/EBPファミリーと、Notchシグナルについて報告をした。C/EBPファミリーの中ではC/EBPbetaが軟骨で高発現し、軟骨細胞の肥大分化や変形性関節症を促進することを解明してきたが、そのほかにもC/EBPdelta, alphaが発現しており、C/EBPbetaと類似の作用を発揮することを解明した。これらの作用はC/EBPファミリー共通のドミナントネガティブフォーム、A-C/EBPを用いることで打ち消され、軟骨の肥大分化が抑制されることが判明した。現在はこのトランスジェニックマウスを用いてin vivoでの検証を行っている。 Notchシグナルについては、下流について解析が進んだ。Notchの下流標的転写因子の中ではHes1が唯一豊富に誘導された。そこでさらに詳細を知るためHes1-floxマウスを用いて同様の解析を行ったところ、やはりOAの進行は抑制された。Hes1の強制発現細胞を用いたマイクロアレイにより、Hes1はMmp13やAdamts5などの軟骨基質タンパク分解酵素以外にもIl6, Il1rl1など炎症性分子も強く誘導することが分かり、ChIPシーケンスによってこれらの多くがHes1による直接の誘導であることも確認された。Hes1は転写抑制分子であることから、Hes1が転写を促進するメカニズムを調べたところ、カルモジュリンキナーゼによる結合・修飾を受けて転写活性化複合体を形成することも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoレベルの解析も順調に進み、論文として公表するとともに、次のメカニズムの解明にも順次取り掛かれている。
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Strategy for Future Research Activity |
関節軟骨の構造を規定する遺伝子の候補分子については、遺伝子改変マウスの解析を中心に進めていく。Notch/Hes1シグナルについては薬剤治療の標的になりうる可能性があることから、関連する分子の阻害剤などを実験的に検証していく。メカニカルストレスや炎症によって誘導される分子についてのスクリーニングも進め、培養細胞レベルの実験で有望な結果が得られた分子については、遺伝子改変マウスを作成してin vivoでの検証を行う。またこれらの変形性関節症を制御する分子・シグナルについて、ROADプロジェクトのゲノムサンプルを用いてヒトOAへの関与を検証する。
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