2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯質表面損失症候群の診断法の確立と接着技法を応用した治療法の開発
Project/Area Number |
25253100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10201071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細矢 哲康 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00157033)
堀田 正人 朝日大学, 歯学部, 教授 (10157042)
日下部 修介 朝日大学, 歯学部, 助教 (30614557)
西谷 佳浩 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60325123)
荒木 孝二 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70167998)
久保 至誠 長崎大学, 大学病院, 准教授 (80145268)
佐野 英彦 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90205998)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 保存修復学 / 接着歯学 / 接着性レジン / 歯質表面損失症候群 |
Research Abstract |
1.TSLの臨床疫学調査とTSL評価法の開発 多施設でのTSLの臨床疫学調査を行うにあたり統一基準を設定するために、くさび状欠損の進行速度、パターンについて経年変化の解析を行った。すなわち、くさび状欠損を有する3次元形状測定用模型と光干渉断層計を用いて、非侵襲的かつ即時に任意の断面画像、3次元画像を得た。その結果、深さの進行は形態による影響を受けるが、横幅、縦幅は形態による影響が少ない傾向であった。デジタルマイクロスコープによるTSL歯観察については、画像解析ソフトを用いて観察した歯面から、咬耗総面積及び露出象牙質面積を計測し、咬耗総面積に占める露出象牙質面積の比率を計測した。その結果、露出象牙質面積の占める割合は、臼歯と比較して前歯が高い傾向にあることが示された。 さらに、象牙質表層にArFエキシマレーザーを照射した場合には、接着界面の炭素量が移行的に変化することから、応力集中を防ぐ傾斜機能材料のような性質を接着界面に付与するため接着力に有利と考えられた。TEMによる表面観察では、H2Sの影響によりハイドロキシアパタイトが不規則な結晶構造となることが示唆された。 2.TSL治療接着システムの構築 TSL治療接着システムの開発を目的として、透明象牙質に対する検討を踏まえて接着強さの測定および象牙質MMPs活性の測定を行った。その結果、白金ナノコロイドを加えた酸処理によって接着強さは向上するものの、被着象牙質面の湿潤状態が影響することが考えられた。人工的に作製した酸蝕歯への自己接着性フロアブルレジンは、薄膜かつ良好な接着性を有することから酸蝕歯への歯面コーティング材料としての可能性が考えられた。ヒト抜去歯を粉砕して得られた象牙質を、人工的に石灰化を促進させた場合の象牙質MMPs活性は低下する傾向であったが、接着を行う際の酸処理によって活性が増加する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSLの臨床疫学調査とTSL評価法の開発およびTSL治療接着システムの構築を目的として、TSLの観察および接着性の検討、象牙質MMPs活性の測定を行っていることから、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26~27年度は、引き続きTSLの臨床疫学調査およびデータ解析を行い、TSL評価法の最適化を行う。TSL接着システムの評価については、接着強さに加えて接着界面の微細構造についても検討する。最適な接着システムを選定した後に、長期耐久性および象牙質MMPs活性についても検討する。TSL進行防止用歯面コーティング材として、自己接着型歯面コーティング材の評価を行う。
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