2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本敗戦と新しい国境による台湾・沖縄の変容の口述歴史に基づく研究
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25257009
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
栗原 純 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (40225264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
所澤 潤 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (00235722)
菅野 敦志 名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (70367142)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 台湾 / 口述 / 植民地 / 帝国 / 教育 / 日本語世代 / 志願兵 / 白色テロ |
Outline of Annual Research Achievements |
科研の公開研究会(研討会)を、2014年8月30日・31日の両日、「口述歴史研究之方法与課題―帝国支配・脱殖民地及新的国境研討会」・「口述歴史研究の方法と課題―帝国支配・脱植民地・新たな国境について」と題して中央研究院台湾史研究所(台北市)において開催した。 同研究会は、本科研と、台湾口述歴史学会、中央研究院台湾史研究所の共催によるもので、日本からは栗原純・所澤潤を含めて5名が、霧社事件の関係者・台湾人戦犯・台湾人志願兵などからの聞き書きについて報告し、台湾からは4名が、台湾における口述歴史研究の現状、ひまわり運動などに関する報告をした。 当日は中央研究院台湾史研究所・国立台湾師範大学・国立台湾大学などの台湾史研究者や台湾史研究を志す100名近い学生、院生の参加があり、活発な議論をすることができた。同シンポジウムの報告・発言はすべて録音した。録音はすでに文字に起こして原稿を作成しており、2015年度の科研の報告集として日本語と中国語の両国語で刊行する計画である。 なお、科研の報告集としては、2013年度に実施した研究会の記録をまとめた報告集第11集「ドキュメンタリー執筆のための聞き取り・台湾人戦犯」の他、台湾の教員の体験談をまとめた第12集「顔順裕・黄秀英・廖継思オーラルヒストリー」、日本統治期の裁判所に勤務した公務員からの聞き書きをまとため報告集第13集「魏景宏オーラルヒストリー」、第14集「三吉勝夫オーラルヒストリー」の4冊の報告集を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研の申請時以来、計画していた台湾の口述歴史学会などとの共催による研究会を二日にわたり、台北の中央研究院台湾史研究所において開催することができた。この研究会には台湾口述学会の理事長や台湾史研究所口述歴史室所属の研究者の他、院生などを中心に100名近い若い研究者の参加があった。また、会場には聞き書きの対象としてご協力していただいた80歳代・90歳代の植民地時期を体験されてきた世代の方も出席されて交流した。 この研究集会における報告、議論の記録を日本語・中国語で刊行すべく、原稿を作成した。 また、昨年度の研究会の記録、本科研のメンバーによる聞き書きの成果をまとめた報告集を4冊刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は本科研の最終年度となるため、従来の活動を編修して報告集を刊行する計画である。そのなかには、2014年8月に台北の中央研究院台湾史研究所で開催した研究集会の日本語と中国語による原稿、2015年度の研究会の記録の他に、今までに聞き書きを記録してきた原稿が含まれる。これらの原稿を編修し、より多く報告集として刊行することを計画している。 また、日本統治時期、とくに戦時下における文献資料、公文書などは保存されているものが限られており、また、未公開のものもあるので、そのような文献資料の空白を埋めることを意図して、当時を知る方からの聞き書き、口述の記録をできるだけ多く今のうちに残しておくことが必要な作業となる。
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Research Products
(3 results)