2016 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated Study on vitalizing Tanzanian Local Economies with Sustainable Resource Management
Project/Area Number |
25257107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池野 旬 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40293930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (10231408)
上田 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10241514)
小川 さやか 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (40582656)
樋口 浩和 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50303871)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経済事情 / 国土開発 / 社会経済変容 / 資源保全 / タンザニア |
Outline of Annual Research Achievements |
4年度目である平成28年度には、6月、8月、2月に研究代表者と複数の研究分担者がタンザニアにおいて現地調査を行い、同時に現地で研究打ち合わせを行った。平成28年度の現地調査の主たる目的は、前年度の平成27年度までに行った複数の調査対象地での実態調査の結果を踏まえて、それぞれの地域においてさらなる成果を蓄積していくことであった。調査対象地として現地調査を行ったのは、(1)アルーシャ州アルーシャ市、(2)アルーシャ州アルメル県ソンゴロ村、(3)キリマンジャロ州ムワンガ県ムワンガ町、(4)ムワンガ県ムクー村、(5)タンガ州ムヘザ県ムクズィ村、さらに(6)モロゴロ州モロゴロ農村県キボグァ村である。さらに、(2)、(4)、(6)との生態環境の比較を行うために、インド洋上のザンジバルにおいても短期の現地調査を行った。上記の調査対象地のうち、(2)と(4)にはすでに平成25年度に気象観測装置を設置しており、平成26年度~平成28年度の現地調査において、蓄積データを回収し、機器が正常に機能していることを確認した。たとえば、平成28年10月からの小雨季には降雨が短期で中断してしまったという現地農家からの聞き取りと相応するデータが、観測装置で計測されていることを確認している。 日本国内においては、本調査研究課題に密接に関わっている地域経済振興についての文献を輪読する会も大学院生を交えて開催し、日本の地域経済振興の経験や問題点についての知識を深め、タンザニアへの応用の可能性について議論する機会を持った。また、上記の(5)の現地調査においては、ソコイネ農業大学D.Mhando准教授と共同で調査を実施し、ザンジバルでの調査においてはザンジバル公立大学のM.Sheikh教授にアドバイスをいただき、意見交換にも務めた。このような現地での国際交流と成果の現地還元の準備を進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、平成28年7月渡航時ならびに平成29年1月にタンザニア中央政府からの調査許可を更新し、ついで在留許可の更新作業も順調に進めることができたため、調査許可に関わっている科学技術委員会ならびに出入国管理局の所在するダルエスサラーム市で時間を取られることなく、迅速に調査地での調査活動を継続することができた。 第2に、前年度と同様に、タンザニアの現地において、研究代表者、研究分担者が一同に会して、複数の調査地の現状について意見交換することができ、一定の共通認識を持ち得たことは、今後の研究遂行上大きな意義があった。 第3に、初年度に調査を開始した北東部タンザニア諸州諸県に加えて、中部タンザニアのモロゴロ州モロゴロ農村県での調査を継続し、さらにザンジバルでの調査に着手し、地域間比較の視座を充実できるようになりつつある。 第4に、日本国内においては、地域経済振興やタンザニアの最近の経済事情に関する読書会を開催し、知識の共有化を進められた。 第5に、タンザニア人研究者等と、問題意識を共有し、意見交換することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度~4年度は、ほぼ順調に研究を遂行しえた。そのため、最終年度にあたる平成29年度も、予算の枠内で、できうるかぎり研究計画書に沿って研究を遂行していく予定である。主たる計画は、(1)5県6箇所の調査対象地における現地調査の完了と、(2)タンザニアでの国際ワークショップの開催、(3)研究成果の英文出版である。 (1) 5県6箇所での現地調査の完了:アルーシャ州アルーシャ市、アルーシャ州アルメル県ソンゴラ村、キリマンジャロ州ムワンガ県ムワンガ町、キリマンジャロ州ムワンガ県ムクー村、タンガ州ムヘザ県ムクズィ村、モロゴロ州モロゴロ農村県キボグァ村において、現地調査を再度行い、4年間あまりにそれぞれで継続してきた調査を完了する。 (2) 国際ワークショップの開催:ダルエスサラーム大学農学部を前身とし、農村・農業関係に造詣の深い研究者が多いソコイネ農業大学(タンザニア、モロゴロ州)において、本科研費の研究成果を公表する小規模の国際ワークショップを開催する。 (3) 研究成果の英文出版:研究事業の代表者、分担者に併せて、研究事業を通じて交流を深めたソコイネ農業大学D.Mhando准教授、ザンジバル公立大学M.Sheikh教授等にも執筆を依頼して、10本程度の論文からなるAfrica Study Morographs誌(京都大学アフリカ地域研究資料センター発行の英文季刊誌)増補号の出版をめざす。
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