2014 Fiscal Year Annual Research Report
サハラ砂漠周縁の水資源に関わる2大問題解決に向けた調査研究
Project/Area Number |
25257306
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
入江 光輝 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50451688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 健一 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00447236)
川上 智規 富山県立大学, 工学部, 教授 (10249146)
河内 敦 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10582364)
藤 正督 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50238523)
袋布 昌幹 富山高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (50270244)
間中 淳 富山高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90413757)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | 土木環境システム / 水工水理学 / 環境材料 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 国際協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)貯水池濁水流動調査:前年度に設置した機材を回収し、数値シミュレーションによる再現計算を行い、貯水池内における堆砂分布と長期的な堆砂傾向に関する考察を進めた。また、現地農業省とチュニジア国内全貯水池における深浅測量の実施調整を進め、同時に貯水池建設前の地形図の共有について合意した。各貯水池の集水域をGIS上で整理し、集水域ごとの土地利用情報の整理を開始した。また、研究成果の社会実装に向けて現地ワークショップに積極的に参加し、堆積物再利用パイロットプロジェクトにむけたコンセンサスの形成をはかった。 (2)底泥セラミックス作製:ゲルキャスティング法および有機物混入焼成法による多孔性セラミックスの作製を試みた。乾燥時収縮が大きいので、スラリー作製時の適正含水率の設定や緩速乾燥を検討し、一定の品質の多孔性セラミックスを作製できた。同素材を使用して微細粒径のフッ素不溶化剤と処理水との分離がはかれると期待される。 (3)浄化ユニット基本設計:現地リン産業関連施設で得たサンプルからフッ素不溶化に適した形態のリンを見出そうとしたが、好ましい形態は発見できなかった。一方,同国内において食品産業等の廃棄物からのリン資源回収を検討した。骨を加熱処理し得られる骨炭や,廃棄物抽出のリン源で合成できる第二リン酸カルシウム二水和物(DCPD)等,フッ素処理への有効性がある程度既知である素材について,同国での原料供給等の調査を開始した。また、現地で地下水フッ素汚染が顕著な地域の多地点でフッ素濃度を測定し処理対象濃度を見極めるとともに処理に影響を与える共存イオンの分析を行った。 (4)地下水フッ素汚染広域調査:試験紙型と液体試薬変色時間測定型の簡易分析システムの開発を進め、特に液体試薬変色時間測定型についてはモバイル端末カメラによる変色認識時間測定システムを開発し、現地で実用できる段階とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に計画通り進行しているが、当初想定していたリン産業関係からの産物からはフッ素不溶化に適したリンが見いだせなかった。そこで食肉加工廃棄物から生じるリン廃棄物を活用する方向に転換した。これは当初計画とは異なり、調査自体を根本からやる必要がある。しかし、食肉加工廃棄物の問題は同国で大きな問題になっており、現地の環境問題に関わる事象を多様に結び付けて具体的解決策を見出そうとする本研究の中でよりアプローチの多様性が増し、より高度化した実践的解決策の提示が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
貯水池管理に関しては特定の貯水池の貯水池内での土砂輸送特性を評価しうる水理モデルの適用ができたので、今後は貯水池ごとに異なる土砂流入量の評価と実際の堆砂量に関わる情報を集積し、解析を進める。 フッ素除去ユニットに関しては貯水池底泥から作製した多孔性セラミックスと粉状鳥骨炭もしくは食肉加工廃棄物から生じるリン資源を適切に融合し、現地使用環境に適したフッ素除去ユニットを開発していく。
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