2013 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素有機物組成と同位体比測定による有機態窒素エアロゾルの起源の解明
Project/Area Number |
25281002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 潔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60373049)
持田 陸宏 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10333642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機態窒素 / 大気エアロゾル / 同位体比 / アミノ酸 / 元素分析 |
Research Abstract |
本研究では大気エアロゾル中の有機態窒素に焦点を当て、含窒素有機物の組成解析と窒素同位体比測定により、有機態窒素エアロゾルの存在形態(酸化・還元態)と起源と生成機構を明らかにすることを目的としている。 平成25年度はまず、森林大気エアロゾルについて、含窒素有機物の収支とその起源に関する観測研究を行った。大気の光化学場・植生活動が活発な初夏に有機態窒素が全窒素の最大約40%を占め、その質量の大部分は粒径2μm以下に存在していることを見出した。夏季の含窒素有機物の起源として植生由来の揮発性有機化合物と人為起源由来の窒素酸化物との反応による生成の寄与が大きいことが示唆された。一方、秋季は菌類などに由来する粗大粒子に多く存在し、植生からの直接放出の寄与が大きいなど、有機態窒素の起源が季節によって大きく異なることを明らかにした。この中で、エアロゾル窒素の起源情報を持つ水溶性全窒素の窒素同位体について分析法を確立した。 次に組成解析を行うためにHR-ToF-AMSを用い、試験的に取得したエアロゾルサンプルの質量スペクトル(含窒素有機物のフラグメント)からN/C比を導出した。この中でフラグメントイオンNO+/NO2+比の詳細な比較から有機硝酸の寄与が示唆された。さらにFTIRからも有機硝酸由来のピークを検出し、MSフラグメントとの比較を行っている。またHPLCを用い、アミノ酸についてプレカラム誘導体化法による分析条件の検討を行った。その結果、遊離態アミノ酸についてはエアロゾル試料の抽出溶液中、数十~数百pmolN/mL以上の濃度について検出可能となった。 エアロゾル窒素に関する元素分析とその同位体測定、およびAMS、HPLCを用いた有機態窒素の組成解析について各々手法の確立が進み、有機態窒素エアロゾルの存在形態と起源情報の解明に向けた研究体制が整いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機態窒素の化学組成及び窒素同位体測定に関して高い精度での分析手法が確立されつつあり、当初の研究計画について概ね達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる大気条件(都市、森林、海洋)での大気エアロゾルサンプルについて、有機態窒素の元素分析及びアミノ酸・アミンの分析結果とAMSフラグメントイオンとの系統的な比較をより詳細に行うことで、その存在形態(酸化・還元態)と起源の解明に向けて引き続き研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析に必要な消耗品が当初の想定より低い金額で購入できたこと、および試料取得のための旅費の回数が少なく済んだことによる。 平成26年度は分析と試料取得回数が増えることが想定されており、研究計画通り物品(消耗品)購入、旅費に使用する。
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Research Products
(5 results)