2014 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素有機物組成と同位体比測定による有機態窒素エアロゾルの起源の解明
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25281002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 潔 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60373049)
持田 陸宏 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10333642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機態窒素 / 大気エアロゾル / 同位体比 / アミノ酸 / 元素分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大気エアロゾル中の有機態窒素に焦点を当て、含窒素有機物の組成解析と窒素同位体比測定により、有機態窒素エアロゾルの存在形態(酸化・還元態)と起源と生成機構を明らかにすることを目的としている。 平成26年度はまず、平成25年8-9月(夏季)および平成26年3月(春季)に名古屋で採取した大気エアロゾル試料の純水抽出物について、高分解能飛行時間型エアロゾル質量分析計(HR-ToF-AMS)を用いて質量スペクトルを取得した。これを利用し、電子イオン化で発生した、窒素と炭素の両方を含むイオンの信号強度を求めた。予備的な結果であるが、今後、試料のブランクレベルを確認した後に、含窒素有機物の成分濃度との比較等にもとづく解析ができると見込まれる。これらの試料については、窒素・炭素の元素分析は終えており、水溶性・非水溶性画分の窒素同位体については測定条件を確認した。上記比較のための分析を順次進めている。 含窒素有機化合物分析に関しては、イソチオシアン酸フェニルを用いたプレカラム誘導体化-HPLCシステムによる大気エアロゾルの純水抽出物中の遊離態及び結合態アミノ酸濃度の定量方法を確立した。ブランク値や回収率を決定後、試験用エアロゾル試料に適用したところ、遊離態及び結合態として存在するそれぞれ17種のアミノ酸の濃度定量に成功した。このように、大気エアロゾルの水溶性画分のエアロゾル質量スペクトル、遊離態・結合態アミノ酸および窒素・炭素の元素分析とその同位体分析については、測定およびデータの相互比較が可能な段階まで進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エアロゾル中の有機態窒素の化学組成及び窒素同位体測定に関して高い精度での分析手法を確立し、かつ相互比較のための試料分析も進んでいる。当初の研究計画について概ね達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる大気条件(都市、森林、海洋)での大気エアロゾル試料について、有機態窒素の元素分析・同位体及びアミノ酸・アルキルアミンの分析結果とHR-ToF-AMSフラグメントイオンとの系統的な比較をより詳細に行うことで、その存在形態(酸化・還元態)と起源の解明に向けて引き続き研究を推進していく。
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Research Products
(5 results)