2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスと遺伝学の融合によるゲノム恒常性維持マシナリーの解明
Project/Area Number |
25281021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
廣田 耕志 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00342840)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体 / ゲノム / 複製 / 質量分析 / SILAC |
Research Abstract |
環境中の化学物質や放射線などによるDNAの損傷は、ゲノム不安定化の原因となる。ゲノムの不安定化は、発ガンや遺伝的影響の要因となり、ゲノムの安定維持機構の解明が急がれる。我々は、クロマチン制御-DNA修復の連携によるゲノムの安定維持機構を、「ゲノム恒常性維持マシナリー」と定義し、その解明を行なう。これまで、遺伝学アプローチによりゲノム恒常性維持マシナリーの各因子の機能解明を行なってきたが、個別のタンパク質の研究では、全貌を俯瞰するような知見を得ることは不可能であった。本研究では、SILACという手法を用い、プロテオミクスと遺伝学手法を融合させ、ゲノム恒常性維持マシナリーの全貌解明を目指す。具体的には、ゲノム不安定化の現場に動員されるタンパク質をプロテオミクスアプローチで、網羅的に同定する。この時SILAC手法で、野生型細胞と染色体不安定化を示す変異体細胞を比較する。この遺伝学的比較により、どのようなシグナル経路がどのタンパク質の、ゲノムの損傷現場への動員を誘導するのか全貌解明する。 昨年度は、計画初年度であり様々な実験条件の最適化や、実験に必要のデータベースの整備を行った。昨年度はSILACをニワトリBリンパ球DT40細胞用に最適化した。さらに、蛋白質が95%以上安定同位体で標識できており、質量分析装置によって、ペプチドの質量の違いを実際に検出できる事を確認した。ニワトリのユニプロット蛋白質データベースは、ヒト用のデータベースに比べたいへん規模が小さく、蛋白質同定の妨げになる事が予想された。そこで、DT40細胞のトランスクリプトームをディープシーケンスした。 その結果、高品質の(従来よりも同定率が70%上昇)蛋白質データベースを作製する事が出来た。来年度以降のSILACによる染色体の向上し維持マシナリーの同定の準備状況は良好である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、質量分析装置の最適化、細胞の安定同位体標識の最適化がほぼ終える事が出来た。昨年度中までに、ニワトリ用の高品質の蛋白質データベースを作製する事にも成功している。今年度以降の、SILACによる染色体の恒常性維持マシナリーを同定するための準備はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年までに確立したSILACやiPONDの手法を用いて、複製がDNA損傷部位で停止した時に複製フォークに動員される蛋白質の網羅的解析を今年度に実施する。 複製停止からの回復機構には、損傷乗越え機構が中心的な役割を果たす。この時、ポリメラーゼηとζがともに共同して働く事が知られている(Hirota et al 2010 Plos Genetics)。一方、ポリメラーゼηとζがともに欠損しても他の回復機構がその役割を置き換えるため、ポリメラーゼζのみ欠損した場合よりも、細胞生存率が高くなる。 今年度は、ポリメラーゼηとζがともに欠損している細胞と野生型の細胞を比較して、どのような蛋白質がどのような時間に複製フォークの損傷部位に動員されてくるのか解明する。この研究によって、損傷に動員されるプロテオームが理解できる。さらに、ηとζがともに欠損しているときの細胞の生き残り戦略を理解できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度予定していた国内出張が延期になったため。 延期になった国内出張を行う予定である。
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[Journal Article] Structure-specific endonucleases Xpf and Mus81 play overlapping but essential roles in DNA repair by homologous recombination.2013
Author(s)
Kikuchi, K, Narita, T., Van, P.T., Iijima, J., Hirota, K., Keka, I.S.,Mohiuddin, Okawa, K., Hori, T., Fukagawa, T., Essers, J., Kanaar, R.,Whitby, M.C., Sugasawa, K., Taniguchi, Y., Kitagawa, K., and *Takeda, S.
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Journal Title
Cancer Research
Volume: 73(14)
Pages: 4362-4371.
DOI
Peer Reviewed
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