2013 Fiscal Year Annual Research Report
一細胞ゲノミクスによる嫌気ベンゼン分解微生物群の機能解析
Project/Area Number |
25281043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 郁朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20431794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオレメディエーション / ベンゼン分解 / 電気培養 |
Research Abstract |
現有のベンゼン分解集積培養系において、Hadsa-Aの存在割合を引き上げるため、電気培養に関する検討を行った。電気培養装置を用いた培養実験に先立ち、培養における有機物分解反応を促進させる可能性を持つ電子メディエータについての検討を行った。電子メディエータの候補として、他の物質分解のための培養にも用いられているものとして、Anthraquinone-2-sulfonate(AQS), Neutral Red (NR), Methyl Viologen(MV), Fe(III)EDTA, Co(II)EDTAを用い、培養系に加えてベンゼン分解に与える影響を見た。その結果、AQS, NR, MVについてはベンゼン分解を阻害する結果となり、これらがベンゼン分解集積培養系には不適であることが明らかとなった。一方、Fe(III)EDTAではわずかにベンゼン分解の促進効果が、Co(II)EDTAでは明確な促進効果が見られた。これらの金属イオンが、ベンゼン分解の電子メディエータとして有効である可能性が示された。 また、ベンゼン分解集積培養系を用いて、セルソーティングによる1細胞分離を行い、Multiple Displacement Amplification (MDA)によりゲノムDNAをランダムに増幅した。増幅産物に対して16S rRNA遺伝子の配列を解読し、Hasda-A類縁の細菌が入ったウェルを特定した。 さらに、ヘリウムプラズマイオン検出器搭載の超高感度ガスクロマトグラフを購入し、培養系内の水素を計測する手法を確立した。少量のガスで水素を分析する方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画と異なっていたのは、電気培養に関する項目である。当初、今年度中に電気培養を開始する予定であったが、実際は装置の購入と試運転にとどまった。これは、今年度の実施計画策定後、電気培養をより確実に成功させるために、電子授受メディエータの検討を行う方が良いと判断し、電子メディエータの検討を行ったためである。その他については予定通り進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
電気培養装置の運転により、よりベンゼン分解集積培養系の高度化を図れるものと考えている。また、ゲノム解析を完了させ、ゲノム情報から得られる情報をもとにどこまでベンゼン分解微生物の代謝に迫れるかは、得られるデータの量と質に依存するところであると言える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通り執行したが、電気培養装置の運転が今年度中に終了しなかったため。 電気培養装置の運転にかかる消耗品として使用する。
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