2015 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Studies of Asian Design Structures As Observed in Holy-Mountain-Shaped Floats in Japan and China
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25282009
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
杉浦 康平 神戸芸術工科大学, 付置研究所, 名誉教授 (00226432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 文彦 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50213244)
黄 國賓 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (50441382)
山之内 誠 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (40330493)
さくま はな 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (00589202)
曽和 英子 神戸芸術工科大学, 付置研究所, 研究員 (80537134)
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
長野 真紀 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 助教 (10549679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アジアの山車 / 霊獣 / バリ島のバデ葬儀山車 / ナーガとガルダ / ハッサディーリング鳥 / 宇宙山 / タイの葬儀山車 / 象 |
Outline of Annual Research Achievements |
9月にはバリ島の「バデ」と呼ばれる葬儀山車。もう一つは、タイの北部、ランナータイと呼ばれる地域に伝わる葬儀山車で、ハッサディーリング鳥という聖獣を飾る、珍しい山車を取り上げて、国際シンポジウムを開催した。 さまざまな動物が生息する南アジアでは、動物たちが内に秘めるただならぬ力が畏怖され、神と人、天上世界と地上世界を結びつける異能の存在とも考えられた。霊獣たちの際立つ力を結合させた、多様な姿の複合獣が創案されている。 シンポジウムには、この世での生涯を終えた貴人・聖者たちの霊魂を天上世界(宇宙山の山頂にあるとされる)へと送る葬儀山車の造形に、神話的複合獣が登場した。霊獣パワーをふんだんに盛り込んだ、バリ島と東北タイの装飾山車。その迫力ある姿・形と、熱気あふれる式典の次第を、現地取材の映像を交えながら、研究者との意見交換を行った。 「なぜこのような数多くの獣たちが集合し、力を尽くして、徳のある人の魂を天上界へと送りとどけなければならないのか」「靈獣たちが果たす役割は何なのか」「われわれ地上に生きる一般の人びとに、何を伝えようとしているのか」をシンポジウムのテーマとし、靈獣たちの姿が山車全体を支えている理由を明らかにした。 本研究の集大成の成果として、2016年(繰越申請)7月には「靈獣が運ぶ アジアの山車――この世とあの世を結ぶもの」 を出版した。本出版物は主に2013年と2015年の2回にわたり、アジアンデザイン研究所主催の国際シンポジウムで紹介されたアジアの山車は、ミャンマー、タイ、ラオス、バリ、日本の5カ国の造形性に富んだものに基づくものである。それらにかかわりをもつと思われる平安時代の龍頭鷁首(りゅうとうげきす)船の紹介が加えられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、27年度の研究計画においては、中国の山車をアジアの山車と比較研究を行い、「タイ国王の葬儀にまつわる祭祀山車」「霊鳥・ガルダの翼を羽ばたかせ、死者の霊を天界に送るインドネシア・バリ島の葬儀山車」「龍の頭、あるいは鳥の頭をつけた舟形のタイやミャンマー山車」などのアジア山車の資料をベースに、日本、中国山車の特色、宇宙観と比較しながら、アジア諸国の山車文化の同異性を探る。「アジアの山車」の分布、分析、比較を地図化、図化によって明らかにする一方、「アジアの山車」における日本と中国山車の位置づけも明らかにするいう計画内容であったが、本研究においては、「アジアの山車」の比較研究だけでなく、柱立て、神輿、傘蓋、玉座といった神迎えの装置や祭礼の時空間構造を重層させた多角的な視野をもち、地域研究、宗教学、民族学、人類学、デザイン学などの複合的な領域におよぶ研究となり、「霊獣が運ぶ アジアの山車」(2016・工作舎)の出版物を通して、アジアの古来の思想と豊かな造形に関する研究成果を社会に発信し、グローバルな研究ネットワークを構築することができた。今年度の達成度は当初の計画以上進展していた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年1~3月までに、出版社との共同作業によるレイアウト・編集作業を完了し、校閲・最終確認を経て出稿し、平成28年6月までに、印刷製本があがり、書籍の完成及び出版行程が完了する予定。
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Causes of Carryover |
27年度の研究計画において、11月から出版社との共同作業でレイアウト・編集・校閲を行い、3月までに出版を完了する計画であった。事前に出版社が行う作業について、打ち合わせを重ねていたにもかかわらず、編集・校閲の過程において出版社の専門技術と知識が不十分であり、作業が進まない状況が発生した。出版社を変更ぜざるを得ない状況となり、他社を検討して作業を再開したため、出版完了が遅延することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年1~3月までに、出版社との共同作業によるレイアウト・編集作業を完了し、校閲・最終確認を経て出稿し、平成28年6月までに、印刷製本があがり、書籍の完成及び出版行程が完了する予定。
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Remarks |
杉浦康平「アジアの山車を読み解く」読売新聞、文化13版、2016.11.24 神戸芸術工科大学アジアンデザイン研究所が行ったアジアの山車に関する調査結果をまとめた『霊獣が運ぶ アジアの山車―この世とあの世を結ぶもの』(工作舎)が出版された。本記事は東洋に広がる多彩な山車から見えるものについて紹介された。
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Research Products
(9 results)