2013 Fiscal Year Annual Research Report
論理的文章を推敲する力を涵養するFlip Education環境の構築と評価
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25282060
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
椿本 弥生 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (40508397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩倉 裕子 (大塚 裕子) 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10419038)
藤田 篤 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10402801)
柏野 和佳子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50311147)
RUTHVEN Stuart 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (40278148)
DOMINIC Bagenda 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90552050)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 反転学習 / アカデミックライティング / 論理構成 / 機械学習 / 思考図 / アウトライン |
Research Abstract |
本研究では,論理構成を推敲する力の育成とその育成方法の汎用化を目的に,以下の4点を実施する.1.思考図やテクニカルコミュニケーション技術を基盤とした,特定の言語に依存しない論理的な思考や表現の型を学べるオンライン教材,および学習者が執筆・推敲した文章の論理構成の情報を学習者にフィードバックすることで,学習者による推敲を促すツールの開発,2.上記を主たるコンテンツとしたオンライン学習環境およびそれを補助する対面教育のデザイン,3. 2の反転学習の実践と教育効果測定,4.反転学習の教育実践方法のパッケージ化と公開,を行う.これらは全て日英各言語で開発・実践する. 平成25年度は,主に上述の1について実施した.1つめは,教授する能力・技術のリストアップである.情報伝達型の日本語文章・文書に対するガイドライン(岡部, 2012)や書籍などを参考に,アカデミックライティングの授業担当者とテクニカルライティングの専門家によってリストを作成した.今後は,リストに対応する授業動画および授業資料を開発する.2つめは,論理構成の推敲を支援するための言語データおよびルーブリックの作成である.意見文のアウトラインを対象として,申請書I-iiで計画した「推敲材料として提示すべき情報の整理」を,論理的なアウトラインを執筆するためのルーブリックを開発することで行った.また,修辞構造理論(RST)に基づき,アウトラインに付与する論理構成タグの設計および,タグを付与するアルゴリズムの開発も行った.これにより,今後若干の修正を必要とするものの,学習者に論理的なアウトラインを書かせるためのルーブリックおよび,産出されたルーブリックに対して付与する修辞構造情報がほぼ決定した.今後は,論理構成タグを付与したアウトラインデータを大量に蓄積し,論理構成タグ付きコーパスを構築する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
思考図の開発,動画コンテンツの開発,コーパスの開発がやや遅れているが,それぞれ今後行うべき作業の内容や工数の具体的な見積もりはできている.それをふまえて,平成26年度開始早々に合宿を開催し,遅れている箇所について集中的に作業を進めたため,ほぼ順調な進捗となっている. まず思考図は,平成25年度に,アカデミックライティング授業での試用が終了しており,改善に必要な実践知見が蓄積されている.また,思考図を活用した授業方法や,思考図の種類や働きなどについての資料収集も完了している. 動画コンテンツについては,コンテンツに含むライティング技術や知識のリストが概ね完成している.また,コンテンツ開発に必要やソフトウェアの購入や資料の収集も完了している.平成26年度の早い時期にリストを完成させれば,ただちにコンテンツ作成に移行できる. コーパス開発については,ルーブリックと論理構成タグの妥当性を昨年度の実験によって検証済みであるため,これらの修正の方針が立っている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず思考図は,平成25年度にアカデミックライティングの授業で開発・試用したものについて,能力リストと関連づけを行った.今後は,思考図の指導方法や活用方法を先行事例からさらに収集し,教材や授業の開発を行う. 次に動画コンテンツは,リストアップした内容を精査し,コンテンツの絞り込みを行った後,平成26年の6月以降に開発に入れる体制が整っている.研究分担者らは,アカデミックライティング授業の担当者やテクニカルライティングの専門家であり,動画コンテンツの開発経験も豊富であるため,開発の準備状況は十分であるといえる. 最後にコーパス開発は,ルーブリックと論理構成タグの妥当性を昨年度の実験によって検証済みであるため,平成26年度最初の合宿において,修正がほぼ終了した.今後は,コーパスに蓄積するための新たなアウトラインデータが必要だが,外部の業者に発注する予定が立っている.なお,英語のアウトラインデータについては,日本語の適切なアウトラインデータを収集・作成した時点で,それらを英訳することで得るという方針が立っている.開発する教材についても,まずは日本語で開発し,最終的に英語に翻訳する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アウトラインデータとそれに対する修辞構造のタグ付け作業にかかる人件費が,今年度は予定より少なくなったため,次年度に活用したい. 当初の予定では,今年度はアウトラインデータを大量に作成し,それへのタグ付けを行う予定であったが,アウトラインのルーブリック開発とタグの開発が予定より遅れたため,データを大量に作成するまでに至らなかった.それに伴い,予定していた人件費の使用額が少なくなった. 2014年5月の時点で,ルーブリックとタグの開発が概ね終了した.今年度は,当初の予定どおり,外部の言語データ開発者に対して,ルーブリックに沿ったアウトラインデータの作成を大量発注し,それへのタグ付けを行う.その際に,今年繰り越した人件費を活用する.
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Research Products
(6 results)