2014 Fiscal Year Annual Research Report
個人世帯の地震災害時生活継続計画の提案とその作成支援に関する研究
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25282109
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 成幸 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50125291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 唯貴 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60557841)
佐藤 健 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90290692)
渡辺 千明 秋田県立大学, 付置研究所, 准教授 (50363742)
小山 真紀(田原真紀) 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70462942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / 構造工学・地震工学 / 減災 / 自然災害 / 地震 / 人的被害 / 経済被害 / 個人復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地震による個人あるいは世帯の生活破壊の予防・減災そして早期回復・復旧を目的とし、予防から復旧までの時系列的自助能力向上のための防災計画をFamily-life Continuity Plan:FCPという概念で新たに提案し、その診断法を提案するものである。 初年度は主に経済指標(個人の資産)の観点より、計量手法と個人(世帯)属性との関係を関数化し、個人世帯のライフスパンで災害発生時の影響を評価するモデル構築を行った。本年度はその成果を論文化し、また海外を含む学会において口頭発表を行った。また、個人世帯の影響の第2軸として、災害時における個人(家族)の身体的影響(死傷程度)を評価するモデル構築を行った。評価尺度は災害医療関係で用いられている外傷重症度指標(ISS:Injury Severity Score)を用いた。本論では負傷程度の推定に、住宅の地震による倒壊による負傷発生という限られた症例を用いるためデータベース化されている観測例は極めて少ない。そこで、観測値に加え有識者の先験的主観確率の採用が許容されるベイジアンアプローチの立場をとり、被災度別の発生確率分布から尤度として対数正規分を事前/事後分布に採用し、事後確率分布として評価対象者の負傷程度発生確率を推定する方法を展開した。 加えて、分担者による災害時における「復興教育の影響」及び「高齢化地域の避難所運営のあり方」の検討、そして災害発生前の個人(世帯)の防災力向上のための「災害想定力向上手法の検討」と「被災体験者の生活意識・生活行動に関する情報把握」、地域が個人世帯に与える影響評価としての「地域の人口変動量を見据えた経済被害推定」並びに「地域防災力評価手法の検討」を準じ行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
災害時の個人(家族)の身体的負傷程度の評価に関しては、既往研究にはない負傷程度の精度向上が見込まれる推定式の提案に至っている。これは本研究の成果である以上に、地震による人的被害予測の推定式としても極めてユニークなものである。 分担者の成果として、「復興教育の影響」は石巻市内の複数の小学校において地域と連携した実践的研究が展開されている。「高齢化地域の避難所運営のあり方」については秋田県能代市中心市街地にある2つの小規模自治会において避難所運営ゲームを実施し、参加者各人が立場や居住地に応じた災害時の役割や日ごろの住まい方について気づきを得たとの評価を得ている。「災害想定力向上手法の検討」においては。ワークショップ形式の手法開発を試み、「被災者体験の情報収集」においては、古写真を用いた街並み再生手法を提案し、実践的ワークショップを経て住宅や街並みの変化に関する記憶の要因を探ることができた。「地域の人口変動量を見据えた災害量推定」については、前年度の成果に基づき地域の被災度(物的、経済的被害)を把握するための推計式開発が実現できた、等々着実な成果が上がってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画初年度(平成25年度)において、世帯の保有資産力算定モデルを構築した。計画次年度(平成26年度)において、個人の被災時負傷程度評価モデル(身体的回復モデル)を構築した。最終年度(平成27年度)は、引き続いて精神的回復力のモデル構築を試みる。評価尺度として、精神神経医療部門で用いられている健康尺度k6の援用を試みる。 さらに、個人(世帯)の生活継続力の総合評価をこれまでの成果を基に、世帯単位で診断する3軸診断チャートにブレイクダウンする。 これに加えて分担者の成果を総合し、個人(世帯)の防災力向上のための手法を発災前と発災後で展開し、前者については個人の災害想定力向上、後者については地域との連携を主とした具体的方法に組み立てる。
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Causes of Carryover |
次年度は最終年度に当たる。分担者の所属変更に伴い連携協力員への変更の他、研究遂行上、分担者の増員を行って対応してきた。そのため、最終取り纏めの会議開催を次年度送りとして計画しており、そのための旅費を当初計画より経費節約し次年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
打合せ会参加のための研究者及び連携協力者旅費として使用予定である。
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Research Products
(14 results)