2013 Fiscal Year Annual Research Report
高速分圧抵抗スイッチング電極による脳深部信号の計測
Project/Area Number |
25282137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
牧川 方昭 立命館大学, 理工学部, 教授 (70157163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩澤 成弘 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30411250)
岡田 志麻 近畿大学, 理工学部, 講師 (40551560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳波 / 生体電気信号 / 電極 / 分圧抵抗 / 高速スイッチング / 事象関連電位 / P300 / 音刺激 |
Research Abstract |
生体内電気信号の計測電極とグラウンド電極の間に設置した分圧抵抗値を切り替えることによって、信号源の電圧とその深さに関する情報を取り出すことができる、「分圧抵抗の高速スイッチングによる脳深部電気活動の3次元計測装置」を開発している.研究初年度には、1つの電極に対して、8つの抵抗と8つのグラウンドを切り替えるCPU内蔵の高速分圧抵抗スイッチング計測システムを開発した.この試作回路を用い、実際に、事象関連電位の一種である脳波のP300を計測し、ターゲット音刺激に対して約300ms後に発生する陽性電位の発生場所について検証した.その結果、P300が脳の深部から発生するとの結果を得た.また、スイッチング直後に発生する計測波形の一過性の変化などの問題点も明らかとなり、これらの結果を踏まえ、20チャンネルの高速分圧抵抗スイッチング計測システムの設計を完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の当初計画は、1.高速分圧抵抗スイッチング計測の基礎研究と、1つの電極に対する計測システムの開発、ならびに2.複数(20チャンネルを想定)の電極に対する高速分圧抵抗スイッチング計測システムの開発、の2つである. この内、1.に関しては、1つの電極に対して、8つの抵抗と8つのグラウンドを切り替えるCPU内蔵の高速分圧抵抗スイッチング計測システムを開発し、実際に、脳波計測に適応し、基本的な問題を明らかにすると共に、その解決策を講じた.その結果、脳の事象関連電位の発生位置の推定に適応できることを示すことができた. 2.の複数(20チャンネルを想定)の電極に対する高速分圧抵抗スイッチング計測システムの開発に関しては、3 チャンネル/8種の分圧抵抗切替/8個のグラウンド切替から構成される高速分圧抵抗スイッチング計測システムのプロトタイプを完成した.当初の想定である20チャンネルを実現するためには、7組のシステムを製作する必要があるが、この点については、基本的な設計を完了しており、早々に製作を外部委託する予定である. 以上のように、当初計画はほぼ達成出来たと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目には、昨年度、設計を完了した3 チャンネル/8種の分圧抵抗切替/8個のグラウンド切替から構成される高速分圧抵抗スイッチング計測システムを15台製作する.更に、これらのシステムを用いて計測した、80個の脳波データから、脳内の電気活動の断層像を推定するソフトウェアの開発を行う.ただ、推定出来る信号源数には限界がある.信号源分布の推定に際しては、9個の双極子を仮定し、双極子追跡法に従い、最小二乗法によって、各電極に現れる電圧が最も説明可能な分布を推定する. また、実際には脳内の導電率は一様ではなく、信号源と電極の間には表皮組織、頭骨、血管、脂肪層などの組織が介在し、インピーダンスは一様ではない.このような不均一なインピーダンス分布の下で脳内電気信号がどのように電極表面に現れるのかをコンピュータシミュレーションし、脳波信号からの脳内電気活動の3 次元再構成プログラムの開発を行う.更にこれまでの研究で明らかとなっている様々な脳研究成果、疾患研究結果と比較し、その妥当性を検証する. 研究最終年度には、本高速分圧抵抗スイッチング計測システムの応用として、インナーマッスルの筋電図計測への応用を検討する.大きな分圧抵抗に対しては、表層筋と深層筋の筋電図の重畳した筋電図信号が得られ、小さな分圧抵抗によって、深層筋の筋電図を小さく計測することが出来るため、その差から深層筋の筋電図が分離できる.ただし、脳波に比べ、筋電図の周波数帯域は広いので、分圧抵抗の切替周波数をどこまで上げることができるかも本研究項目の重要な課題である. 更に、本方式が生体内インピーダンスの測定にも適用可能であることから、足のむくみの定量評価への応用についても検討を加える.
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