2015 Fiscal Year Annual Research Report
加齢および廃用性骨萎縮における骨代謝の神経性調節の解明
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25282163
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 智章 新潟医療福祉大学, その他部局等, 研究センター副センター長 (30445902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
田巻 弘之 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40253926)
桐本 光 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40406260)
與谷 謙吾 鹿屋体育大学, その他部局等, 講師 (10581142)
高橋 英明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90636250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 高齢期 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、薬理的神経阻害による骨形成・骨吸収への影響並びに高齢期の運動刺激の骨代謝への影響を検討した。心拍数変動解析によって交感神経活動亢進が確認された高血圧自然発症ラットに対してβ受容体遮断薬を投与して、脛骨骨組織を観察した。骨量及び骨構造は3次元マイクロCT撮影により骨梁の微細構造解析を行い定量化した。骨梁及び骨梁微細構造パラメータは、高血圧ラットで正常ラットよりも28-46%低値を示したが、β受容体遮断薬の投与により正常ラットと有意な差がないレベルに至った。量的構造的脆弱性がβ受容体遮断薬により改善されることが示唆された。骨組織の顕微鏡観察により、新たな骨形成を示す類骨形成が高血圧ラットでは有意に低いレベルにあり、骨芽細胞の骨形成機能低下が示唆されたが、β受容体遮断薬の投与により正常ラットと有意差がないレベルに低下軽減が認められ、交感神経の骨形成機能へのネガティブな影響が示唆された。骨萎縮もしくは脆弱性の改善のための処方として交感神経を標的とした各種処方(薬剤、電気刺激、運動刺激等)の考案に意義を有する可能性がある。 次いで、高齢期の運動実施が骨量及び骨梁構造に及ぼす影響を調べるために2年齢以上の高齢ラットの自発走運動を12週間実施した。骨量、骨量幅、骨梁連結密度等の構造的パラメータは、非運動群よりも運動群で有意に高く、骨芽細胞による骨基質形成機能も有意に高かった。遺伝子発現レベルでは、骨形成関連遺伝子(BMP-2,-4, TGF-β2, Col-1, Osteocalcin)が非運動群よりも約2-2.5倍up-regulateした。同様に若齢期では遺伝子発現が約2.5-3.5倍up-regulateしており、高齢期では運動効果の現れ方が若齢期よりも低いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢期および生活習慣病関連モデル動物を用いて、運動刺激や交感神経の機能的阻害による骨への影響を骨組織、細胞、遺伝子発現レベルで検証することができ目的を遂行できた。計測項目についても、計画したパラメータの収取ができ目的を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢期の動物用いた研究では、これまでに骨内神経支配様相、骨組織、細胞、遺伝子発現レベルでの運動刺激効果を確認しており、今後この運動刺激効果の現れ方が薬理的神経阻害によりポジティブ/ネガティブに影響するのか検証することが重要である。骨代謝に対する運動効果の発現程度に神経系がどの程度関連するのか、若齢期とも比較して進めていく。
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Causes of Carryover |
予定していた論文の英文校正が年度をまたぐことになり、また試薬等がキャンペーン価格で低価格で購入でき、効率的な予算執行が可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額は、英文校正費や実験消耗品の購入に充当する計画である。
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Research Products
(9 results)