2014 Fiscal Year Annual Research Report
創造的な身体表現活動での共振創出に関する研究-身体的共創から社会的共創へ-
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25282187
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
西 洋子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40190863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10103615)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 身体表現 / 共振 / ワークショップ / 共創 / 被災地 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には,以下の①-③の研究を実施した. ①「てあわせ表現」を主活動とするワークショップ(以下WS)の実施(研究代表者:西ほか):宮城県石巻市および東松島市において,平成25年度に10回実施した「てあわせ表現」WSを引き継ぎ,継続して年間10回のWSを実施した.各回の参加者は,30-50名程度であり,ファシリテータは,西と舞踊学関係の連携研究者らが行った.加えて,今年度からは,新たな試みとして,WSに継続的に参加している現地運営メンバーがファシリテータを務める部分をつくり,参加者による主体的活動の企画・運営の視点から大きな成果を得た.毎回のWSの様子は,映像に収録し,ファシリテータならびに参加者相互に振り返りの機会を持って,共振創出を促す創造的な身体表現WSモデルの開発研究を加速させた. ②身体表現の場の計測手法の検討(研究分担者:三輪ほか):表現の場を計測・評価する手がかりを得ることを目的に,ハイビジョンステレオカメラを用いた撮影を継続して実施した.収録した動画内の各人の頭部を色や形状の特徴から抽出し,ステレオ法による3次元トラッキングを行うことで,個々人の位置や距離,移動方向や速度等から,個々人間の関係や個人と集団全体の関係性の解析を進めた.特に今年度は,各参加者とファシリテータの関係性を解析し,共創的な身体表現の場におけるファシリテータのはたらきに関する新たな知見を得た. ③主観的・心理的健康観等の測定手法の開発(研究分担者:野口,連携研究者:前川ほか):①のWS参加者を対象に,前川が現地での半構造化インタビューを実施し,質的データを収集して心理学的視点からM-GTAによる分析を実施した.野口は,これらの結果を参照しながら,WSでの表現による身体的経験と主観的健康観の関連を検討する質問紙案を作成し,現地参加者の意見を聴取しながら,質問紙を完成させた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宮城県石巻市および東松島市での「てあわせ表現」を主活動とする身体表現WSは,多くの市民の参加を得て,20回を終えることができた.現地参加者による主体的な企画・運営はもとより,参加者自らがWSファシリテータの役割を担う等の新たな動きも加わって,ワークショップモデル開発に関する研究は順調に進んでいる.また,身体表現の場の計測については,継続的なデータ収集と解析による研究が進み,ファシリテータと全体との関係性に関する新たな知見を得ることができた.WSでの身体的共振の体験と主観的健康との関連についての調査研究は,個別インタビューの実施に時間をかけ,詳細な質的検討を進めることができたが,時間的にやや遅れており,質問紙での調査を次年度に持ち越した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究での被災地での身体表現WSの実施は,2015年8月までとする.モデル開発研究に関しては,月に1回のWSの継続とあわせて,新たに試みられるようになったファシリテータの現地育成を目指して,2015年6月に「ファシリテータ講座」を開催する計画であり,その成果と課題もあわせて検討する.表現の場の計測と解析はWS期間中は継続して実施し,その結果を通して表現創出のダイナミクスを探る.共振創出の経験による心理・社会的変容については,インタビューによる質的研究と質問紙による量的研究の相互から,より詳細に検討する.これらを総合して,社会への成果発信を積極的に進める.具体的には8月に〈せんだいメディアテーク〉での一般公開の交流WSを企画しており,開発したモデルの社会実装を試みる.また,関連学会での研究発表やまとめのシンポジムを東京で実施する.
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Causes of Carryover |
計画では,初年度に映像編集用のPCを購入予定であったが,切り替え時期の関係から,現有のPCを使用している.現地WSの会場費は,現地運営メンバーや石巻支援学校の協力によって,公共施設や学校体育館でのWSが実施でき,予定より安価となった.HPの維持については,連携研究者の協力が得られ,業者への依頼費用が不要となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCおよび映像編集ソフトは,今年度初旬に購入予定である.一般参加の公開交流WSを2015年8月に〈せんだいメディアテーク〉で実施予定のため,会場費,音響・照明費等が必要となる.まとめのシンポジウム開催と報告書作成のための諸費用が必要となる.
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Research Products
(6 results)