2014 Fiscal Year Annual Research Report
健やかな発達を促すエクセルギー・リズム環境-新生児集中治療室からの挑戦
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25282221
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小柴 満美子 埼玉医科大学, 医学部, その他 (90415571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 秀雄 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10250226)
宿谷 昌則 東京都市大学, 環境学部, 教授 (20179021)
國方 徹也 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50195468)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高感受性期 / 発達障がい / 行動計量 / 社会環境学習 / 気象変動 / 温熱エネルギー / 環境適応 / 代謝系 |
Outline of Annual Research Achievements |
人生全期に影響を与える胎児・新生児期では、どの様な環境要素が必要か、あるいは回避すべきか、未解明なことが多い。低体重児出生率が増えている我が国において、新生児集中治療による救命水準は優位性を誇る一方、精神・情動機能の発達の問題と深い相関性が示唆されるようになり、質的な発達を支援することができる要素解明が必要である。 そこで、埼玉医科大学治験承認内容を遵守し、新生児集中治療室で入院した新生児54名を対象とする、入院中の臨床情報(施術、栄養、血液学・生化学指標、脳MRI画像)など、および、予後の神経学的発達との関わりを、多変量解析を主軸とするモデルを探索し、包括的発達診断法の開発を行なった。その結果、例えば、出生期の病態に大きく関わることが知られる母親の栄養代謝系の状態を総合的に示す臍帯血pHの酸性度と、寝返りの出現の遅れ、白血球数や脳組織量などが互いに関わる可能性が、示唆された。包括的分析でしか得られない新たな発達病態の理解として、質の異なる指標間の相互作用を可視化することの可能性を示すことができた。 これらの代謝系と神経系の相互作用に関わる臨床知見を踏まえ、霊長類コモン・マーモセットの温熱エネルギー環境依存的な代謝系生理情報と、発達期の社会性情動形成との関わりを分析した。代謝系に影響を与える住環境として、ホーム室温や湿度、建物外の気象状態を反映する気温や湿度の長期推移に着目した。ヒトの精神動態にもよく相関する体重と血糖値を代謝系指標として共に、住環境との相関を調べた。その結果、児童相同期に、同齢間の社会相互作用経験を有さなかった群において、気象環境変動依存的な低体重傾向を認めた。これらの結果から、社会性情動機能の学習・発達における高感受性期の存在、および、社会学習を伴う神経系の発達不全が、気象変化に影響を受ける住環境への不適応性として示された可能性を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる情動心理の発達を心理・生理・分子・環境指標に基づく多変量相関性および状態推移として識別できる解析システムの開発が最も困難な要件であるが、新生児集中治療室における発達障がいとの相関性が示唆される神経発達と、直接は相関性が推測されない栄養代謝系との関わりを,予想以上の結果として得ることができ、論文報告した。 また、霊長類全11頭の新生-成体までの発達全期を追跡する長大な実験において、前述臨床研究知見で得た代謝系と神経系との関わりを包括視すべき、という示唆を、住環境の温熱エネルギーとの関わりとして実験動物モデル開発と生物基盤研究の成果を得た。この報告では、同齢社会学習に関わる情動機能発達の高感受正期の存在として、論文報告を行なうことができたことから、本研究課題の中心的成果として予想を上回る社会的示唆に至ったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
環境、生体の各物理的動態の計測、および、指標間の相互作用を、さらに詳細化をはかり分析する。胎児期新生児のより高次な情動心理の発達を識別することができる有用な方法論を、引き続き、探索・開発を行う。本研究で着目する重要な概念である熱物理のエントロピーに関わるエクセルギー指標について、すでに、成体モデル用につくられた既存計算式には当てはまらない可能性を、予備検討により得ている。そこで、ヒトの初期発達を包括的に理解することに寄与する、新しい解析システムとそのアルゴリズムを構築して行く。
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Causes of Carryover |
解析を進めた結果、想定以上に論文および学会発表成果報告と国際研究交流が発展したために、予想外の研究拡張が必要となり、本年度は研究費用の利用を控え、分析の結果を踏まえた計画の最高性を熟慮し立案・遂行する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果報告に向けて、研究員の雇用を新たに加える。コモン・マーモセット研究において、住環境制御に関わる充実をはかる。国際研究交流の活発化をはかる。そして、本研究を纏め、次年度の発展研究に向けた論文成果報告、準備研究を進めるために利用する。
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[Journal Article] Susceptible period of socio-emotional development affected by constant exposure to daylight.2015
Author(s)
Mamiko Koshiba , Aya Senoo, Genta Karino, Shinpei Ozawa, Koki Mmimura, Ikuko Tanaka, Yoshiko Honda, Setsuo Usui, Tohru Kodama, Shun Nakamura, Tetsuya Kunikata, Hideo Yamanouchi,,Hironobu Tokuno
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Journal Title
Neuroscience Research
Volume: -
Pages: 9391-9398
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Potential of a smartphone as a stress-free sensor of daily human behaviour.2015
Author(s)
Mimura K, Kishino H, Karino G, Nitta E, Senoo A, Ikegami K, Kunikata T, Yamanouchi H, Nakamura S, Sato K, Koshiba
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Journal Title
Behav Brain Res.
Volume: 276
Pages: 276-181
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Multivariate analysis of environment-life for psychiatry.2014
Author(s)
Koshiba M, Karino G, Mimura K, Ikegami K, Tokuno H, Usui S, Tanaka I, Honda Y, Kodama T, Sato K, Tsugawa W, Sode K, Kishino H, Shukuya M, Kunikata, Nakamura S, Yamanouchi H
Organizer
The 4th international regional (North America) ISBS neuroscience and biological psychiatry “stress and behavior”conference.
Place of Presentation
USA, New Orleans
Year and Date
2014-06-22 – 2014-06-22
Invited
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