2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト3・11的危機からみる〈理性〉〈欲求〉〈市民社会〉の再審
Project/Area Number |
25284021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 宗徳 法政大学, 社会学部, 准教授 (60329745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平子 友長 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (50126364)
水野 邦彦 北海学園大学, 経済学部, 教授 (90305897)
景井 充 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30340483)
橋本 直人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324896)
佐山 圭司 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80360965)
田中 秀生 太成学院大学, 人間学部, 講師 (70388669)
菊谷 和宏 和歌山大学, 経済学部, 教授 (40304175)
名和 賢美 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (40361860)
高安 啓介 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (70346659)
村田 憲郎 東海大学, 文学部, 准教授 (80514976)
大河内 泰樹 一橋大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (80513374)
荒川 敏彦 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (70534254)
赤石 憲昭 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (50711058)
小谷 英生 群馬大学, 教育学部, 講師 (80709147)
磯 直樹 大阪市立大学, 都市文化研究センター, 研究員 (90712315)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3・11 / 危機 / 理性 / 欲求 / 市民社会 |
Research Abstract |
2013年度の主な研究成果は以下のとおりである。 平子友長は、マルクス思想の生成過程をより深く探求するため、彼の抜粋ノートの意義を解明する世界初の研究成果を公刊した。水野邦彦は、戦中から戦後にかけて日本の社会意識が本質的転換もなく自己肯定的生活保守主義へと流れこんださまを、丸山眞男・日高六郎・藤田省三らを参照しつつ明らかにした。橋本直人は、サイードとアドルノの論理的対応関係を示し、西洋近代の同語反復的な理性に対する批判の拠点としての非同一性のネットワーク的性格を明らかにした。菊谷和宏は、永井荷風のフランス滞在経験を分析することによって、フランス思想からの知られざる影響と、日本における「社会」概念の受容と変容の歴史の一端を明らかにした。村田憲郎は、ブレンターノの哲学を初期のアリストテレス研究にまで遡って位置づけ、アリストテレスのカテゴリーを「実在概念」とする彼の解釈を明確化した。大河内泰樹は、近代社会における共同性の再興をヘーゲルのコルポラツィオン概念やデュルケムの社会分業論に見出すホネットに対して、マルクスの労働過程や交換過程分析のなかに承認と共同性の契機が含まれていることを示した。荒川敏彦は、「迷信」をめぐる闘争の視点から、太陽暦への改暦に伴う暦註の禁止が人びとの〈欲求〉に反し、その後も「偽暦」が刊行された過程を明らかにした。小谷英生は、カントの教育論および大学論をめぐるテキストを横断的に読解し、カントの道徳哲学の理念と大学の社会的責務とのつながりを確認した。磯直樹は、フランス語のpopulaireが階級概念と深く関わることを指摘し、ブルデュー社会学における「ポピュラー文化」を例に、調査を行う上での概念の用法について問題提起を行った。 また、9月14日と2月23日に全体研究会を開催し、研究協力者である南孝典、杉本隆司、中村美智太郎、白井亜希子が研究報告をし、討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定期的に研究会を開催し、活発な討議を行うことができた。研究分担者および研究協力者の多くが研究成果を発表し、相互に刺激を与えあうことができている。次年度はさらに緊密な協力体制を築くことによって、最終年度に包括的な成果を挙げることを目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、ひきつづき定期的に研究会を開催し、海外での調査の回数を増やす予定である。ただし、予定された調査が最終年度にずれ込むケースが増える見込みであり、必要に応じて基金分を次年度に回すことを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遠隔地で開催される研究会出席のための旅費を研究分担者に配分したところ、本務校の業務などやむを得ない理由で欠席したために費消できなかった。 研究会の開催予定をふくめ、研究計画全般にわたり慎重に精査をした上で研究分担者への配分を決定した。
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