2014 Fiscal Year Annual Research Report
東西貿易と東洋趣味コレクション―17~19世紀の日本美術コレクションが担った役割
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25284027
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
日高 薫 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (80230944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻庭 美咲 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 機関研究員 (20425151)
澤田 和人 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80353374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 工芸 / シノワズリ / 東西交流 / 陶磁器 / 漆 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)平成26年度の主要な成果は、イギリス国内に現存する日本製磁器および漆器の調査、またシノワズリ建築・室内装飾の調査と、それを構成する日本・中国・西洋製などの工芸品の調査を行ったことである。調査方法は昨年度同様、磁器班、漆器班を中心におこなった。訪問先は、以下の通り。各機関において現地研究者との意見交換をおこなったほか、大英博物館およびヴィクトリア・アンド・アルバート美術館の研究者とも情報交換をおこなった。 主な調査先は、以下の通りである。ハンプトン・コート宮殿(磁器の調査)、ケンジントン宮殿(漆器・磁器などの調査)、ウィンザー城(漆器・磁器などの調査)、アシュモレアン美術館(漆器・磁器・染織品の調査)、ロイヤル・パヴィリオン(シノワズリの建築および室内装飾、日本・中国製漆器、中国製磁器・その他の工芸品の調査)、エルトン・ホール(日本漆器および磁器の調査)、ベルトン・ハウス(日本製磁器および漆器、シノワズリ室内装飾の調査)、ウォレス・コレクション(日本製磁器および漆器の調査)
(2)オランダのライデン民族学博物館が所蔵するブロンホフおよびフィッセル収集の日本製漆器の調査をおこない、現地の研究者との意見交換をおこなった。
(3)11月21日~23日 ハイデルベルク大学において開催された国際会議EurAsian Objects:Art and Material Culture in Global Exchange, 1600-1800に参加し、グローバル・アートヒストリーの方法論によるヨーロッパとアジアの交流史研究に関する知見を深めた。また、23日に日高が口頭発表「16世紀~19世紀の日本製輸出漆器に反映された日欧文化交流」をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核をなす在外の東洋コレクションに含まれる日本の美術工芸に関する調査は、ほぼ順調に進んでおり、漆器・磁器に関してはかなりの情報の蓄積がなされている。とくに、海外の研究者との意見交換・情報交換により、資料の所在情報・伝来等に関する情報のみならず、研究に関する方法論的な示唆を多く得られたことは大きな成果であった。 ただし、調査機関の都合により、希望したが実施できなかった調査、次年度以降に調査を延期せざるを得ない調査を残すことになった。これらに関しては、平成27年度中にできるだけ実施できるよう交渉を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究の目的・研究計画に従って、今後もヨーロッパ各地における調査を中心に研究を推進していく。研究計画には特段の変更はないが、今後の研究の展開を探るため、海外の研究者との交流をより積極的におこないたい。
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Causes of Carryover |
計画していた資料調査に関しては、事前に協力機関の内諾を得ていたが、先方の都合により、年度内の調査の遂行が不可能となり、調査を延期せざるを得なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査を完了できなかった調査先については、先方と再度日程調整のうえ、平成27年度内に実施する予定である。
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