2015 Fiscal Year Annual Research Report
東西貿易と東洋趣味コレクション―17~19世紀の日本美術コレクションが担った役割
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25284027
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
日高 薫 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (80230944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻庭 美咲 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 機関研究員 (20425151)
澤田 和人 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80353374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 工芸 / 東西交流 / シノワズリ / 陶磁器 / 漆 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)平成27年度の主要な成果は、ロシア国内に現存する日本製磁器および漆器の調査、またシノワズリ建築・室内装飾の調査と、それを構成する日本・中国・西洋製などの美術工芸品の調査をおこなったことである。調査方法は、昨年度同様、磁器班、漆器班を中心におこなった。各機関において、現地研究者との意見交換をおこない、国立民族学博物館の調査チームとも合流して、情報交換につとめた。訪問先は、エルミタージュ美術館、ツァールスコエ・セロー、ペテルゴフ宮殿、オラニエンバウム宮殿、メンシコフ宮殿、ストロガノフ宮殿、クンストカメラなどである。日本では知られていないロシア宮廷における日本工芸の高度な受容例が存在することを確認しえた点が成果となった。 (2)スペインのナバーラ美術館において、日本製輸出漆器およびメキシコ製工芸品の調査をおこない、サラゴサ美術館が所蔵する日本漆工芸資料の調査をおこない、現地研究者との研究交流および打ち合わせをおこなった。 (3)メキシコにおける工芸および宮殿・協会の建築装飾等の調査、とりわけ日本の影響を受けたメキシコ螺鈿や屏風、東洋と西洋の影響を受けた陶磁器等の調査をおこない、現地研究者との研究交流もおこなった。 (4)窯跡と出土遺物を中心に、肥前磁器の遺品調査をおこない、現地の研究者と意見交換をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核をなす在外の東洋コレクションに含まれる日本の美術工芸に関する調査は、ほぼ順調に進んでおり、漆器・磁器に関してはかなりの情報の蓄積がなされている。 とくに海外の研究者との意見交換・情報交換により、資料の所在情報・伝来等に関する情報のみならず、研究に関する方法論的な示唆を多く得られたことは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究の目的・研究計画に従って、ヨーロッパにおける調査を中心に研究を進める予定である。研究計画には特段の変更はない。
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Causes of Carryover |
航空券が予定よりも安くで購入できたため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度できなかった調査をおこなうために使用する予定である。
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Research Products
(7 results)