2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25284048
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近本 謙介 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (90278870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 泰郎 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60193009)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60285244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 法会唱導 / 南都 / 安居院 / 復元的研究 / 東アジア唱導論 |
Outline of Annual Research Achievements |
寺院に所蔵される唱導文献に関する調査・研究を進展させ、法会の綜合的理解に結びつけるべく、各WT(ワーキングチーム)による作業を継続した。 〔真福寺調査・研究WT〕は、主要文献分析に関する目録整備を進展させ、これを継続する手順を策定すると共に、断簡整理を進めて分析対象となる聖教類を見いだした。〔勧修寺調査・研究WT〕は、恒常的な調査と目録完成に向けて調書の点検作業を進めた。〔金剛寺調査・研究WT〕は、科研費基盤研究(B)(代表者:成城大学後藤昭雄)との共同作業を通じて基礎的目録を完成させた。 〔安居院・南都関連唱導調査・研究WT〕は、安居院関係では『転法輪鈔』の分析を継続して紹介に向けての準備を整え、南都関係では、貞慶の唱導文献に関する網羅的分析に取りかかり、一部の文献の本格的な注釈作業を進展させた。また、東大寺関係の唱導文献についてもあらたな分析を開始した。 〔法会の復元的研究プロジェクトWT〕は、後白河院政期の法会の復元的研究を進め、研究成果を公開する準備を整えた。〔東アジア宗教文献比較対照研究プロジェクトWT〕は、「第5回東アジア宗教文献国際研究集会」の開催方法を決定すると共に、比較対照研究のためのあらたな共同研究を発足させた。 各々の研究成果を公表する主たる展開・連携フィールドの成果は以下の通り。前年度に説話文学会において共同研究の成果を公表した内容が、「白河院金峯山御幸の記録と記憶―新出「江記逸文」をめぐって―」(『説話文学研究』第49号)として結実した。また、EAJS(ヨーロッパ日本研究協会)大会(於リュブリャーナ大学)で、研究代表者および研究分担者がパネル発表を行い、かつ「リュブリャーナ大学・筑波大学日本研究フォーラム―共同研究が拓く日本研究の新展開―」におけるセッション「書物とことばの仏教文化史―唱導・説教の地平から―」を通じて、国内外の研究者に報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は各々のWT(ワーキングチーム)による調査・研究を中心に進めているが、すべてのWTにおいて、おおむね研究計画通りの進展が得られているため。 〔真福寺調査・研究WT〕においては、科研費基盤研究(S)(代表者:阿部泰郎)との共同研究が開始され、唱導文献研究のさらなる充実した展開を期しているが、本研究の研究達成度は着実に維持されている。 〔東アジア宗教文献比較対照研究プロジェクトWT〕では、本年度中に「第5回東アジア宗教文献国際研究集会」を開催する予定としていたが、第4回を充実した国際研究集会として直前の平成25年3月に台湾・国立政治大学で開催したため、次回に向けて内容のさらなる充実を図るべく、開催を平成27年度中に先送りした。しかしながら、平成27年度の第5回の企画が進展しているため、開催時期の変更という修正にとどまっている。 一方、東アジア宗教文献国際研究集会を延期したものの、当初予定されていなかったタシケント国立東洋学大学・筑波大学シルクロード国際研究フォーラム「ひと・もの・知の往来―国際比較日本文化研究の可能性を探る―」(於ウズベキスタン・タシケント国立東洋学大学 2014年11月)を組織して、研究代表者および連携研究者2名が参加して研究成果を報告すると共に、研究成果報告書を刊行した。この点は、当初の計画以上に研究が進展した点と位置づけられる。
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Strategy for Future Research Activity |
各WT(ワーキングチーム)による調査・研究はおおむね順調に進展しているので、今後もそれを継続していく。ただし、研究年次の後半にさしかかる平成27年度は、各々の成果を横断的に結びつけていく方向を探ることとする。 〔法会の復元的研究プロジェクトWT〕では、学会における研究成果報告が平成27年度に予定されているが、復元的研究をひろく公開するための方策についても検討を進めていく。 〔東アジア宗教文献比較対照研究プロジェクトWT〕では、5回目の国際研究集会の企画が進行中であるが、それ以降に向けての展開を進めると共に、文献講読の共同研究をあらたに立ち上げるなどして、東アジア唱導論構築に向けての進展を図ることとする。そのためのWTにおける打合せは、本年度中に実施済である。
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Causes of Carryover |
本年度に計画していたスロベニア・リュブリャーナ大学における国際研究集会の研究分担者旅費および論文翻訳費の一部について、勤務校の研究経費獲得により賄うことができたため余剰金を生じた。また、中国・中国人民大学における国際研究集会への旅費を共同研究の別経費で賄うことができたため余剰金が生じた。さらに、本年度開催予定であった第5回東アジア宗教文献国際研究集会を参加者の都合等で次年度に延期したため余剰金が生じた。ただし、次年度に本年度の計画よりも内容を充実させたかたちでフォーラムを開催する計画となっているため、次年度への繰越金を多めに確保する必要が生じた。 各々のWT(ワーキングチーム)による唱導文献研究の成果について、展示企画を進め始めたため、次年度以降への繰越金を確保する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に延期した第5回東アジア宗教文献国際研究集会の内容充実のため、招聘経費等が当初の予定よりも多く必要な状態である。また、唱導文献展示企画に向けて、相応な必要経費が生じてくる見込みである。 上記に加え、金剛寺関係の聖教調査データの保存・調査等に、本年度まで以上に経費を使用する必要が生じており、おもに備品・人件費に使用する計画である。
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Research Products
(25 results)