2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25284149
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
橋本 伸也 関西学院大学, 文学部, 教授 (30212137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姉川 雄大 千葉大学, アカデミック・リンク・センター, 特任助教 (00554304)
吉岡 潤 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10349243)
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
福田 宏 京都大学, 地域研究統合情報センター, 助教 (60312336)
梶 さやか 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70555408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東中欧 / ロシア・バルト / 歴史 / 記憶 / 歴史政策 / 記憶紛争 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 年度内に二回にわたって国内研究会を実施した。7月には吉岡潤がポーランド・ウクライナ間の歴史認識問題について、福田宏が社会主義時代のチェコのテレビドラマを素材に大衆的記憶の問題について報告した。またゲストスピーカーとして平野千果子武蔵大学教授を招聘して、「フランスにおける歴史認識と「記憶法」」と題して報告していただいた。また3月には、小森宏美がモルドヴァの歴史政策について、研究協力者の高草木邦仁がルーマニア共産党の記憶と歴史認識について、それぞれ報告した。また、ゲストスピーカーとして藤永壮大阪産業大学教授を招聘して、韓国の過去清算について報告していただいた。ゲストスピーカーの参加を得ることで、東中欧・ロシアの歴史記憶政治問題をより広域的な連関のなかで捉えることができた。 2. 8月末にエストニアのタリンで:研究代表者・分担者・協力者とエストニアとポーランドの研究協力者が参加するワークショップを開催した。ここでは、Raivo Vetik(タリン大学)、Olaf Mertelssmann(タルト大学)、Malgorzata Glowacka-Grajper(ワルシャワ大学)が口頭報告、Yury Kostyasho(イマニュエル・カント連邦バルト大学・ロシア)が文書報告を行うとともに、橋本が東中欧・ロシアと東アジアを架橋する研究枠組みに関する提案を行った。これらに対してKonrad Jarausch(ノースカロライナ大学)がスカイプによってコメントした。また、エストニアの歴史・記憶紛争にかかわるモニュメントと博物館を系統的に参観した。研究代表者らはこれに続けて各担当地域で調査研究を実施した。 3. 年度末にはタリンでのワークショップの報告ペーパーなどをまとめた英文プロシーディングスを刊行した。また、研究代表者の橋本は、国内の関連主要雑誌に相次いで成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内研究会を当初予定通り開催して、新たに検討課題としたウクライナについてポーランドとの関係という観点から研究報告を得ることができたのにとどまらず、当初予定していなかったものの旧ソ連からの独立国として他の諸国とは異なる問題状況を抱え、重要な検討対象となりうるモルドヴァについても調査研究と研究報告を行うことができた。モルドヴァは、今年度集中的に研究を進めた隣接するルーマニアとも深い関係を有しており、両国間の歴史認識問題を立体的に考察することができたことは特筆に値する。また、フランスと韓国という歴史政治が強固に展開されている国家の動向について専門家から教示を得ることで、東中欧・ロシアの歴史・記憶政治とその紛争をより広域的な連関の中で考察するプラットフォームを得られたのも重要である。 タリン・ワークショップを通じて日本側による問題提起と外国人研究協力者による研究報告・討論を実施して、現地での議論の状況を直接捉えることができた。さらに、高水準の報告ペーパーを英文プロシーディングスとして刊行できた。ワークショップ自体が、当初計画では予定していなかったが、前年度の研究進捗状況を勘案して実施したものであり、さらにそこでプロシーディングスとして刊行可能な水準の報告を得られたことも大きな成果である。プロシーディングスは国内外で配布するとともに、関西学院大学リポジトリにも掲載して国際的な利用に供した。2015年度に予定している国際カンファレンスでの報告と討論をより密度の濃いもののする上で重要な意味を持つものである。 2015年11月に予定している国際カンファレンスについても、東中欧・ロシアと東アジアにまたがる国際性を備えた会議として順調に準備が進んでおり、当初予定していた以上の質と広がりを得ることが期待できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各担当国・地域について調査研究を推進してその成果を検討する国内研究会を開催する以外に、今年度は以下の二つの活動により研究成果の取りまとめを進める。特に研究代表者は、バルト諸国とロシアとの歴史・記憶紛争をめぐる単著書を執筆する予定であり、あわせて当該問題に関連する英文図書に論文を寄稿する。 1.2015年11月28日・29日に関西学院大学で国際会議を開催して、東中欧・ロシアにおける歴史・記憶紛争をより広域的な歴史・記憶政治の文脈のなかで検討する。現時点では外国人研究協力者であるアメリカ、ポーランド、エストニア、ロシアの研究者を招聘する予定である。あわせて、この会議では、東中欧・ロシアとならんで歴史認識と記憶の問題が政治・外交紛争化している東アジアとの対比的検討を行うことを課題とする。そのために、関連する国内外の複数の研究プロジェクトにこの会議を共催していただき、ユーラシアの東西を展望した大きな枠組のもとで検討を進める。東西比較の枠組みについてはすでにタリンのワークショップの場で問題提起と議論を行い、その内容はプロシーディングスにも掲載した。 2.前記の研究代表者の単著書以外に図書2点の出版計画を進める。1点は、上記国際会議における研究報告と討論の成果をもとに、国際的執筆陣による論集として企画化する。もう1点は、本研究の代表者・分担者・協力者がこの間実施した調査研究の成果を系統的にとりまとめた論集として出版をはかる。前者が国際的な指導的研究者による先端的な研究成果になることを期待できるのに対して、後者は東中欧・ロシアのかなりの地域を網羅した緻密な実証的研究とし、あわせて資料集的性格も持たせることを考える。いずれも研究期間内に出版企画の具体化を進め、前者については期間終了後一年程度で、後者は二年程度で完成させることをめざす。
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Causes of Carryover |
年度内購入を予定していた関連洋書の一部について刊行の遅れや在庫切れなどの理由で納品が遅れたために、それらの購入予定額を次年度使用分とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
納品が遅れていた図書類のかなりについて新年度開始後にすでに納品ないし入荷してきており、早い段階で相当額を使用することができると見込まれる。
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Research Products
(18 results)
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[Book] Politics of Histories and Memories and Conflicts in Central and East European Countries and Russia (Proceedings of the Tallinn Workshop, 25-26 August 2014)2015
Author(s)
Nobuya Hashimoto (ed.), RaivoVetik, Olaf Mertelsmann, Hiromi Komori, Malgorzata Glowacka-Graiper, Yury Kostyashov, Jun Yoshioka, Mari Nomura, Siobhan Kattago, Yoko Tateishi
Total Pages
178
Publisher
Kwansei Gakuin University
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