2013 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代の畿内地域における政権構造の実態と特質に関する考古学的研究
Project/Area Number |
25284156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
和田 晴吾 立命館大学, 文学部, 教授 (30115969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下垣 仁志 立命館大学, 文学部, 准教授 (70467398)
岸本 直文 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (80234219)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 五塚原古墳 / 向日丘陵古墳群 / 前方後円墳 / 畿内大型古墳群 / GISデータ / 政権構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、列島の国家形成を主導した畿内地域に割拠する有力古墳(群)を分析対象として、発掘・資料整理・データ集成作業を通じ、古墳時代の政権構造の実態と特質を解明することである。有力古墳(群)の発掘・測量調査(A)とその整理・報告(B)を主軸に据え、有力古墳の出土遺物の整理(C)、首長墳のデータの悉皆集成(D)、前方後円墳のGISデータ作成・解析(E)などの多角的検討を構想している。 本年度は、(A)については京都府向日市五塚原古墳の発掘調査を、夏季(8月1日~31日)に予定通り実施した。トレンチ(調査区)を2箇所設置し、墳丘の段築構造および墳丘規模、隣接する方形状基壇の性格の確認、埴輪などの遺物の有無について有効なデータを得ることができ、所定の成果を挙げた。現地説明会を実施し、新聞にも取り上げられるなど、社会への情報の還元を果たし得た。 (B)については、五塚原古墳の本年度分の調査概報を作成し出版した。発掘成果の迅速な公開と速報性を重視し、簡潔かつカラー写真を多用した。(C)については具体的な成果を挙げていないが、次年度以降着実に進行させてゆく予定である。(D)については、立命館大学の学生を主導しつつ、3割方データを蓄積した。(E)については、データ入力作業を6割方完了した(関東・東北以外の列島全土)。 以上、本年度の研究はおおむね所定の目的を達成し得た。他方、今年度は研究会を開催せず、研究分担者・研究協力者との連携を十分に果たし得なかった点に問題を残した。この難点は次年度以降、早急に改善する所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に見て、研究の目的はおおむね所定通りに進展している。ただ、項目ごとに進捗状況に大きな差が出てしまった。 本研究の柱となる有力古墳(群)の発掘・測量調査(A)とその整理・報告(B)については、五塚原古墳の調査の実施及び概報の作成、さらには久米田貝吹山古墳の報告書の作成作業など順調に進んでいる。畿内地域の首長墳のデータの悉皆集成(D)と前方後円墳のGISデータ作成・解析(E)については、やや出遅れたものの最終的に所定通りの進捗を見せ、次年度でおおむね完了するものと考えている。以上、本研究の基軸部分に関しては(2)に該当する。 他方、八幡地域などの重要古墳出土遺物の整理作業(C)は下準備段階であり、研究会の開催や編年構築なども十分に実施し得ていない。これらについては(3)に該当する。 評価としては(2)と(3)の中間になるが、主軸になる研究が(2)のレヴェルを十分に満たしているので、自己点検を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
有力古墳(群)の発掘・測量調査(A)については、本年度も五塚原古墳の発掘調査を基軸に据えて推進する予定である。その場合、五塚原古墳の発掘・整理作業に専念するため、測量調査は後回しになる。 有力古墳の出土遺物の整理(C)については、次年度から八幡地域の出土遺物の整理および和泉地域の遺物の報告作業に本格的にとりかかる予定である。首長墳のデータの悉皆集成(D)及び前方後円墳のGISデータ作成・解析(E)については、前年度と同様に推進してゆく。前年度に基本形が整ったので、本年度以降は着実に進行することが見込まれる。 前年度に開催し得なかった研究会については、今年度は確実に開き、研究分担者・協力者間での情報と研究の共有を一層深めてゆく予定である。 以上、今後の研究の推進方策については、当初の予定に大きな変更を加えるつもりはなく、一貫した姿勢で研究を推進してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は初年度であり、体制の構築にやや時間をとったため、次年度に一層の力点を置く方針にした。とくに発掘調査は、初年度は現状確認が大きな意味を持つため、本格的調査を実施する次年度に費用を多く使用する方針とした。 平成26年度夏に予定している発掘調査において旅費等、秋季以降に重点的に展開する畿内有力古墳(群)のデータ集成には人件費と物品費、春期以降進めてゆく畿内地域の有力古墳の資料調査には人件費・物品費・旅費等を使用する予定である。
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Research Products
(28 results)