2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 充豊 天理大学, 国際学部, 教授 (00335415)
小笠原 欣幸 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20233398)
若林 正丈 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60114716)
高原 明生 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80240993)
家永 真幸 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (90632381)
黄 偉修 早稲田大学, 付置研究所, 講師 (00733130)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日台関係 / 日中関係 / 台湾 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、文献調査、研究会の開催と、現地での聞き取り調査、論文の刊行等を行った。 5月25日には、呉介民・中央研究院社会学研究所副研究員および林宗弘・同左を招聘し、日本台湾学会と合同で「中台関係の新展開と社会変動」と題したシンポジウムを行った。7月31日には、周志懐・中国社会科学院台湾研究所所長を招聘し「両岸関係の和平発展とは何か」と題した研究会を行った。9月1-5日には台北出張を行い、馬英九総統をはじめとして、中台関係や台湾の対外関係に関する重要人物や研究者に対する聞き取り調査を行った。これらの成果はワーキングペーパーに書き起こし原稿として整理してある。 成果発表の研究会としては、9月15日にワシントンDCのシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)で、代表者の松田康博教授、分担者の高原明生教授、黄偉修次席研究員、研究協力者の福田円准教授が研究報告を行った。また平成27年1月23日に、早稲田大学アジア研究機構台湾研究所、日本台湾学会、松田科研基盤Bによる共催研究会の形を取り、「2014年台湾統一地方選挙の分析」と題して、分担者である小笠原欣幸准教授が研究報告を、代表者の松田康博教授が討論を行った。 このほか、6月6日には王英津・中国人民大学教授、9月12日には賴清徳・台南市長を迎えて座談会などを行い、台湾内政や中台関係に関する意見交換を行った。 研究代表者及び研究分担者(高原明生・小笠原欣幸・若林正丈・松本充豊・家永真幸・黄 偉修)・連携研修者(田中明彦・佐藤幸人)は、これまでの研究実績に、上記の研究活動を活かし、雑誌論文7件、学会発表6件、著書(共著を含む)12件を発表した。メンバーによる多くの論文・学会報告・招待講演などがなされた。研究実績の詳細については代表者である松田康博のホームページの研究プロジェクト(http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~ymatsuda/jp/project.html)に掲載してある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査、研究成果発表会及び論文の刊行など、基本的に順調に進んでいる。特に、平成25、26年度は、日本語のみならず中国語や英語での研究成果発信を実施するなど、国際的な場で研究実績が積み上げられている。このことは、本科研費研究グループの知名度をさらに上げることとなり、そのことが各地における聞き取り調査をやりやすくするなどの良循環を生んでいる。 これまで発表された論文については、2008年以降の台湾内政、中台関係(政治、経済、文化など)、日中関係・米台関係などに関する実証研究が多く発表されてきた。他方で中台関係に関する理論的な学習についてやや遅れがあるため、さらに研究を進める努力が必要である。現在、台湾では中国の台頭にともない、どのような大陸政策をとるべきかという課題について、一部で理論的な検討が進んでいる。かつてのような複合的相互依存論だけではなく、権力移行論から米中関係を巨視的に捉え直し、そのサブシステムとしての中台関係をとらえ直そうという試みである。全体的な研究成果発表をする上で、進みつつあるこれら理論研究の成果を吸収する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、最終年度であると同時に、経済関係を主に大陸政策を変更し、中台関係の安定化を図った馬英九政権にとって政権最後の時期でもある。2014年3-4月に発生した「ひまわり運動」は、馬英九政権が進めてきた対中国融和路線を否定する市民運動であった。その影響は同年11月の統一地方選挙における与党・中国国民党の惨敗という形で表れ、2016年1月に予定されている総統選挙では、野党・民進党の蔡英文候補が有力視されている。 果たして、台湾の二大政党がどのような大陸政策を構想していくのか、習近平政権下の中国は独立志向の強い民進党政権の再登場をどのように迎えるのかなど、現在の中台関係は、馬英九政権の大陸政策変更のみならず、多くの不安定要因を抱えている。平成27年度は、こうした点に注目し、総統選挙をめぐる台湾内部、中国、アメリカ、日本などの政策変化の理解に努める。同時に、台湾で進みつつある理論研究の成果を積極的に取り入れる。 7月または8月に、蘇起・元国家安全会議秘書長を招聘して研究会を行い、馬英九政権の大陸政策変更プロセスを実証的に裏付ける。9月には台北を訪問し、政策関係者に対する聞き取り調査を行う。総統選挙の後には、台北および北京で意見交換会を行う。このほか、ワシントンDCのシンクタンクである、スティムソン・センター(Henry L. Stimson Center)が組織している日台関係研究グループが行う予定の国際ワークショップにも、一部メンバーが参加する予定である。 最終的には、科研メンバーおよびこれまで会議などで交流がある海外の研究者とともに、馬英九政権の8年間(2008-2016年)に関する論文集を出版する予定である。
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Research Products
(26 results)