2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285051
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
黄 偉修 早稲田大学, アジア研究機構, 客員次席研究員 (00733130)
小笠原 欣幸 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20233398)
若林 正丈 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60114716)
高原 明生 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80240993)
家永 真幸 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (90632381)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 日台関係 / 日中関係 / 台湾 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、文献調査、研究会の開催と、現地での聞き取り調査、論文の刊行等を行った。 7月27/28日には、台北論壇董事長,前国家安全会議秘書長・蘇起氏を招聘した。7/27には「中台関係波乱の20年:回顧と展望」:李登輝政権以降の中台関係の進展から、馬英九政権時期の中台関係の特徴、および馬英九政権における政策決定過程の特徴について研究報告を実施。7/28日には、日本台湾学会と合同で「九二共識」:從何來,往何去?と題したシンポジウムを行った。蘇起氏が創り出した「92年コンセンサス」の背後にある中台間のコミュニケーションのエッセンスを抽出し、政権交代後のリスクを指摘した。 また平成28年2月5日に、早稲田大学アジア研究機構台湾研究所、日本台湾学会、松田科研基盤Bによる共催研究会の形を取り、「2016年台湾総統選挙 立法委員選挙の分析」と題して、分担者である小笠原欣幸が研究報告を、松田康博が討論を行った。 このほか、8/30~9/4にかけて、政党およびシンクタンクなどで、台湾政治および中台関係に関するインタビュー、意見交換会を行った 研究代表者及び研究分担者・連携研修者は、これまでの研究実績に、上記の研究活動を活かし、雑誌論文7件、学会発表6件、著書(共著を含む)12件を発表した。特筆すべき成果としては、英文ジャーナルであるThe Journal of Contemporary China Studies(Vol. 4, No. 2, 2015)の中台関係特集号にメンバー5名の論文が掲載されたことが挙げられる。 研究実績の詳細については代表者である松田康博のホームページの研究プロジェクト(http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~ymatsuda/jp/project.html)に掲載してある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査、研究成果発表会及び論文の刊行など、基本的に順調に進んでいる。特に、平成27年度は、日本語のみならず英語での研究成果発信を実施するなど、国際的な場で研究実績が積み上げられている。このことは、本科研費研究グループの知名度をさらに上げることとなり、そのことが各地における聞き取り調査をやりやすくするなどの良循環を生んでいる。 これまで発表された論文については、2008年以降の台湾内政、中台関係(政治、経済、文化など)、日中関係・米台関係などに関する実証研究が多く発表されてきた。現在、台湾では中国の台頭にともない、どのような大陸政策をとるべきかという課題について、一部で理論的な検討が進んでいる。かつてのような複合的相互依存論だけではなく、権力移行論から米中関係を巨視的に捉え直し、そのサブシステムとしての中台関係をとらえ直そうという試みである。全体的な研究成果発表をする上で、今後は進みつつあるこれら理論研究の成果を吸収する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、最終年度であると同時に、経済関係を主に大陸政策を変更し、中台関係の安定化を図った馬英九政権にとって政権最後の時期でもある。2014年3-4月に発生した「ヒマワリ運動」は、馬英九政権が進めてきた対中国融和路線を否定する市民運動であった。その影響は同年11月の統一地方選挙における与党・中国国民党の惨敗という形で表れた。さらに2016年1月に実施された総統・立法委員選挙では、野党・民進党の蔡英文候補300万票の大差で勝利し、立法委員選挙でも民進党が約3分の2の議席を確保した。 果たして、台湾の二大政党がどのような大陸政策を構想していくのか、習近平政権下の中国が独立志向の強い民進党政権の再登場をどのように迎えるのかなど、現在の中台関係は、馬英九政権の大陸政策変更のみならず、多くの不安定要因を抱えている。平成27年度は、こうした点に注目し、総統選挙をめぐる台湾内部、中国、アメリカ、日本などの政策変化の理解に努めた。同時に、台湾で進みつつある理論研究の成果を積極的に取り入れた。 最終的には、科研メンバーおよびこれまで会議などで交流がある海外の研究者とともに、馬英九政権の8年間(2008-2016年)に関する論文集を出版する予定である。また、基盤研究(A)「対中依存構造化と中台のナショナリズム―ポスト馬英九期台湾の国際政治経済学―」(代表者:松田康博)(平成28-31年度)が確定しており、引き続き本研究課題を発展させた形で追究する予定である。
|
Causes of Carryover |
2015年9月に台湾で行ったインタビューの記録及び研究会の記録をワーキングペーパーにまとめる予定であったが、テープ起こしの作業に遅れが生じてしまった。 テープ起こしの作業を今年度行いワーキングペーパーを編集し印刷・製本するためには、予算を今年度に繰り越す必要があった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
①2015年9月台湾でのインタビュー記録のテープ起こし ②ワーキングペーパーの編集 ③ワーキングペーパーの印刷・製本 (20部)
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 「日本の安全保障と中国」2015
Author(s)
高原明生
Organizer
日本国際政治学会2015年度研究大会
Place of Presentation
仙台国際センター(宮城県仙台市)
Year and Date
2015-10-31 – 2015-10-31
Invited
-
-
-
[Presentation] 「世界平和と国際協力」2015
Author(s)
田中明彦
Organizer
広島市立大学 広島平和研究所
Place of Presentation
広島市立大学サテライトキャンパス(広島県広島市)
Year and Date
2015-09-04 – 2015-09-04
Invited
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-