2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岩間 陽子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70271004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嶋 周一 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (00409492)
小窪 千早 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00362559)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際関係史 / 外交史 / 安全保障研究 / NATO研究 / 核政策 / 核戦略 / 核不拡散 |
Research Abstract |
研究の初年度である平成25年度は、今後の研究のための基盤作りを重視し、今後の研究に必須となる関連資料の収集・整理を実施するとともに、ミーティング・研究会を通じて、メンバー間で情報の共有と研究方針の策定を行った。 まず、関連資料の収集・整理については、特に一次史料を重点的に扱った。メンバー所属機関の図書館の協力も得て、本研究の対象時期(ジョンソン・ニクソン米政権期;ヒース英政権期)の英米外交史料の電子データベースを購入し、オンラインで利用可能にした。また、印刷物として出版されている一次史料ももれなく利用可能であるように収集を行い、所在場所に関するメンバー間の知識の共有を行った。近年各国一次史料、NATO一次史料のオンライン利用が進んでおり、これらの情報も収集し、共有化した。今後、早い時期にこれらはホームページ上に反映させていきたいと考えている。さらに、今後、数名のメンバーが英・仏・独などの史料館訪問を計画しており、これによる成果も、早期に研究会で共有したいと考えている。 また、メンバー間のミーティングを3回(4月・7月・2月)行い、各人の研究内容・進展具合と今後の研究方針の周知徹底を行った。さらに、公開研究会を2013年10月4日と2014年2月1日の計2回行った。1回目は関西学院大学の津崎直人氏が、「ドイツの核保有問題」に関する報告を行った。2回目は、研究会メンバーの新垣拓氏が、「ジョンソン政権における米国の核不拡散政策の「進化」―包括的な核不拡散アプローチの形成―」と題する報告を行った。それぞれ26名、22名の参加を得て、活発な議論が行われた。参加者には、NATO研究、核不拡散問題研究、外交史研究、安全保障研究分野の専門家が集まっており、従来それぞれの分野内でしか考えられてこなかった問題を、関連づけて考えていくための、好スタートを切ることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、1960年代に成立した核の不拡散と抑止の体制を冷戦の中の「1968年体制」と位置付け、NATOにおける核兵器の共有(核共有)および、核兵器の使用に関する協議(核協議)制度がどのように成立し、運用されてきたのかを、外交史・国際関係史の手法を用いて明らかにすることである。このような本研究にとり、最も重要な研究基盤は各国・国際機関等の政治・外交関連一次資料である。したがって、これまでに電子データベース、あるいは書籍の形で刊行されている関連資料の内、主要なものの収集を完了出来たことは、本研究の目的達成に向けた大きな前進である。諸般の事情により、予定されていた海外での資料調査がいくつか行えなかったが、これら未収集の資料についてもメンバー間で情報共有を行い、その収集に関して目途を付けることが出来た。平成26年度以降、これらの資料をベースに、メンバーによる研究成果を順次発表していきたいと考えている。 さらに、2回の公開研究会において、講演者の講演内容から貴重な知見を得るとともに、様々な隣接分野の外部研究者との意見交換、議論を行い、これを通じて新たな視点を得ることが出来た。これらは、今後の研究に大いに資するものである。研究会の定期開催は軌道にのっており、今後とも定期開催を続けて行き、最終的には国際ワークショップ開催につなげられればと考えている。また、平成26年11月に福岡で行われる日本国際政治学会研究大会では部会報告を本研究会メンバーで行うことが受諾されており、さらに広い範囲の研究者に、本研究会の成果を知らしめると共に、研究協力を呼びかけていく場とできると考えている。 以上に鑑み、本研究は当初の研究目的に関して、おおむね順調に進展していると評価出来るであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、これまでに引き続き関連資料の収集・整理を行っていく。その際、特に海外の資料館に所蔵されている未公刊資料の収集を重点的に行っていきたい。平成25年度に引き続き、平成26年度も旅費を各メンバーに配分しており、それを活用して、欧米の史料館での地道な作業を引き続き行っていきたい。また、実際に60年代、70年代にNATOの核共有・核協議の実務に携わった実務家のオーラル・ヒストリー、もしくはワークショップを平成27年度以降開催するため、欧米各国において、その候補者の選定、ヒアリングを進めたい。 また、平成25年度は定例研究会を2度開催したが、今後はこれをさらに拡大し、3ヶ月に1度程度のペースで開催していく。研究会の告知も幅広く行い、多くの外部研究者、実務家と意見交換を行えるようにしたい。 さらに、調査の成果を中間報告として公表していく。平成26年度には11月に福岡で行われる日本国際政治学会2014年度研究大会で「NATO核共有制度の起源―1956-1957年の同盟危機を中心に」と題する部会報告を本研究会メンバーで行う予定である。国際政治学会で発表を行うことにより、通常の東京での研究会には参加を得られない研究者からの情報インプットを期待している。今後も、その他の学会、研究会でも積極的に成果の発表を行っていくとともに、発表した成果を論文の形にまとめ、国内外学会誌等に投稿していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた海外での資料調査(4人分)が諸般の都合により平成25年度内に行えなかったため、次年度(平成26年度)使用額が生じた。 この次年度使用額は平成26年度請求分の研究費と合わせて、平成26年度の海外資料調査に使用する。
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Research Products
(8 results)