2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25285053
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岩間 陽子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70271004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小窪 千早 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00362559)
川嶋 周一 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (00409492)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政治学 / 国際関係 / 安全保障 / 核不拡散 / 核戦略 / NATO / NPT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はこれまでに引き続き公開研究会を開催し、情報の収集、意見交換を行った。海外から研究者を招聘しての公開研究会も開催し、研究をより多角的な見地から深めるとともに、今後の研究の進展に資する人的ネットワークを築くことが出来た。また、学会でプロジェクトのこれまでの成果を発表した。
平成27年度は計5回の公開研究会を開催した。27年度第1回の公開研究会(2015年6月27日)では、名古屋商科大学の吉田真吾氏より、「中国の核開発と日米同盟」と題する報告が行われた。第2回(10月3日)では、小窪千早が、「ドゴールの外交防衛政策における核認識」と題する報告を行った。第3回(11月14日)では、外務省外交史料館の武田悠氏より、「日本の経済大国化と原子力平和利用をめぐる対米関係」と題する報告が行われた。第4回(2016年2月27日)では、Dr.Oliver Bange氏(ZMSBw)による報告が行われた。Bange氏の報告は、西ドイツが核不拡散条約に参加した経緯を歴史資料に基づき検証するものであった。第5回(2016年3月19日)では、陸上自衛隊研究本部の斎藤剛氏が、「インドの核」をテーマに報告を行った。これらの研究会により、特にアジアと欧州の比較の観点から各国の核政策と核不拡散の関連性についての知見を深めることが出来た。
また、国際安全保障学会 2015年度年次大会(2015年12月6日)の「分科会④ 核不拡散条約(NPT)成立とNATO諸国の核戦略」で、小林弘幸が「イギリスの核戦略とNPT交渉」、小窪千早が「ドゴールの核戦略とNPT」、合六強が「ニクソン政権の核政策とNPT」と題する報告を行った。一橋大学の秋山信将氏、防衛研究所の鶴岡路人氏が討論を務め、NPTの成立と西側各国の核戦略の関連性について議論が行われた。これにより、研究の全体的な方向性を再確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、1960年代に成立した核の不拡散と抑止の体制を冷戦の中の「1968年体制」と位置付け、NATOにおける核兵器の共有(核共有)および、核兵器の使用に関する協議(核協議)制度がどのように成立し、運用されてきたのかを、外交史・国際関係史の手法を用いて明らかにすることでである。このような本研究にとり最も重要な研究基盤は各国、国際機関等の一次資料であるが、目的の達成に必要な各資料は、これまでの調査によりほぼ揃いつつある。
また27年度は海外からも研究者を招聘して公開研究会を実施したことで、研究をより多角的な見地から深めることが出来た。さらに、国際安全保障学会 2015年度年次大会の「分科会④ 核不拡散条約(NPT)成立とNATO諸国の核戦略」でこれまでの研究の成果を発表し、外部の研究者と意見交換を行ったが、これにより研究の方向性の再確認、欠落しいる部分の確認が出来、目的の達成に向け、大きく前進した。研究の最終的な成果として刊行予定の著書についても、全体の構成、枠組み等をおおむね確定することが出来た。
以上に鑑み、本研究は当初の研究目的に関して、おおむね順調に進展していると評価できるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
①実態調査の継続:引き続きアメリカ、イギリス、フランス等、海外で一次史料の収集を継続する。また、これまで収集してきた史料の集積、整理を行い、インターネットを利用して発表出来るものは発表していく。可能ならば60年代、70年代にNATOの核政策に携わった実務家、政治家のオーラル・ヒストリーを実施する。 ②定例研究会の継続:これまで行ってきた公開研究会を今年度も継続し、研究会の回数を増やしていく。内容的には欧州の核問題の専門家のみならず、アジアの核問題や日本政治外交史の専門家にも報告を行ってもらい、本研究の目的である核の「1968年体制」成立過程の解明を、より多角的・立体的な視点から進められるようにしていく。 ③国際会議の実施:28年度は「核の選択:冷戦下の原子力、核兵器と安全保障」と題する国際会議を3日間にわたって開催し、各国の研究者と意見交換を行う。研究者はイギリス、フランス、ドイツ、カナダ、日本から招聘し、1970年代中盤までに主要国が行った核技術を巡る選択を検証する予定である。会議の詳細な報告書はウェブサイトに掲載し、報告を基にしたペーパーも発表する。また、書籍としての出版についても検討する(日本語・英語双方で検討)。 ④研究成果の発表:これまでの研究成果を書籍として刊行する。刊行する書籍の執筆はプロジェクトメンバーで行い、場合によってはこれまで公開研究会で招聘した外部研究者にも執筆を依頼する。また、これまでの公開研究会の内容をまとめ、ホームページ上等で公開する。
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Causes of Carryover |
予定していたイギリス等での資料調査が都合により行えなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成28年度請求分の研究費と合わせて、平成28年度の海外資料調査に使用する。また、開催予定の国際会議の費用としても使用する。
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Research Products
(4 results)