2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
桑名 映子 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (50384657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 信雄 成城大学, 法学部, 教授 (80179697)
石田 憲 千葉大学, 法経学部, 教授 (40211726)
松本 佐保 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (40326161)
野村 啓介 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (00305103)
君塚 直隆 関東学院大学, 文学部, 教授 (80331495)
千葉 功 学習院大学, 文学部, 教授 (50327954)
飯田 洋介 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (50506152)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 外交史 / 西洋史 / 東洋史 / 日本史 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
本研究では、当初の予定通り平成25年度に4回の研究会を開催し、各メンバーが担当する研究テーマの再検討と研究体制の拡充に努めるとともに、個別研究テーマに関する研究報告を行った。 5月25日の第1回研究会では、全体としての研究計画と個別研究テーマの見直しを行った。とくに問題となったのは、研究の対象とする時期を両大戦間期までとするか、それとも第二次世界大戦後の時期を含めるかという点であった。7月13日に開催された第2回研究会では、海外研究協力者アントニー・ベストが日本におけるブリティッシュ・カウンシルの活動について報告し、戦間期から戦後にかけての活動を継続的に論じる必要が明らかとなったたため、同じく海外研究協力者であるアンソニー・アダムスウェイトにアンスティチュ・フランセの担当を依頼し快諾された。 さらに戦後ドイツの文化政策については成蹊大学の川村陶子、戦後日本の国際文化交流については東京財団の福島安紀子に担当を依頼し、平成26年度より川村は研究分担者、福島は研究協力者として本研究に参加することが決まった。このほかに研究協力者として、ドイツ領サモア植民地における文化行政を担当していた中村綾乃も、大阪大学着任にともない平成26年度から研究分担者として参加する。 上記のような研究体制の拡充と平行して、平成25年度には田嶋信雄、石田憲、松本佐保が海外史料調査を行い、国内メンバーのほぼ全員がそれぞれの研究テーマに関する報告を行った。7月13日の第2回研究会では田嶋信雄、石田憲、松本佐保、アントニー・ベスト、12月21日の第3回研究会では島田昌幸、飯田洋介、中村綾乃、君塚直隆、そして翌年3月8日の第4回研究会では千葉功、川村陶子、桑名映子がそれぞれ研究報告を行い、その一部は英訳を付してホームページ上で公開されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、予定通り平成25年度に4回の研究会を開催し、ほぼ順調に各メンバーの研究報告を行うことができた。さらに研究対象に戦後の文化外交を含め、新たなメンバー3名を加えたことで、当初の計画以上に充実した研究体制を実現できた。 研究会には毎回、地方在住者を含め多数のメンバーが出席し、ほぼ全員が1回ずつ個別研究報告を行った。国内の研究分担者では、東北大学の野村啓介が平成26年度前半に最初の研究報告を予定しているが、これは所属大学キャンパスの耐震工事に伴う研究室の移転が予想より長引いたためである。海外研究協力者ではアントニー・ベストがすでに報告しており、アンソニー・アダムスウェイトは平成26年6月の研究会で、スカイプを通じて報告する予定である。 海外史料調査については、田嶋信雄、石田憲、松本佐保の3名がすでに実施済みである。野村は上記のような事情から予定を遅らせ、平成26年度に実施することになった。千葉の研究テーマ変更により、平成25年度に予定していた国内史料調査のための旅費が不要になったため、その分を石田に配分した。 日本語版と英語版を備えたウェブページを作成し、研究成果の発表に役立てるという計画も実現することができた。これにはウェブデザインの専門家だけでなく、本研究の趣旨を理解した上で、日本語を英語に翻訳できる専門家の協力が不可欠であったが、試行錯誤の末、ある程度理想に近いものが完成した。 このほか、ノートパソコン、プリンタ、デジタルカメラ等、備品の購入も計画通り実行することができた。招聘講演については、講演者の個人的な事情により、平成26年度以降に実施する予定である。以上のように、やむをえない事情による予定変更は多少あるにせよ、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」でもふれたように、平成25年度に開催した研究会で話し合った結果、本研究の対象とするテーマと時代を当初の予定より拡げ、日本、イギリス、フランス、ドイツの4カ国については、19世紀後半から両大戦間期までに限定せず、第二次世界大戦後の「対外文化政策」および「文化外交」の発展まで含めて検討することになった。戦間期の対外宣伝工作を考える上で、フランスとイギリスがそれぞれ設立したアンスティチュ・フランセやイギリスのブリティッシュ・カウンシルの活動を論ずることは不可欠であるが、こうした機関の活動はむしろ戦後期に本格的に展開されており、それらを抜きにして今日の「文化外交」や「パブリック・ディプロマシー」の発展を語ることはできない、と考えたからである。 海外研究協力者であり、本研究の計画立案に深くかかわってきたアンソニー・アダムスウェイトとアントニー・ベストの両名は、もともとこれらの機関による文化外交の重要性を認識し、研究を希望していた。また戦後のドイツと日本の文化外交については、すでに豊富な研究実績のある川村陶子と福島安紀子の協力を得ることができ、上記のような変更に見合う、充実した研究体制を整えることができた。 こうした点を含め、平成25年度の研究会における議論や研究報告を通じて、「異文化交流」や「文化外交」に関わるテーマを、必ずしも時代により明確に区分することはできない、という共通認識が得られた。そのため本研究では今後、研究対象とする領域を「外交官による異文化交流」、「植民地行政における文化政策」、「政府機関による対外文化宣伝(プロパガンダ)」、そして「戦後の文化外交」という4つのテーマ群に分け、それぞれ時代を限定することなく、変化や発展のあり方を分析していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初平成25年度に予定していた招聘講演を、講演者側の事情により平成26年度以降に開催することになった。さらに本研究では、研究対象とする時代を戦後まで拡げ、当初の計画より幅広いテーマを取り上げることが決定した。そのため当初1回の予定であった講演を、それぞれ別の講演者を招いて2回開催することにし、その際必要となる経費を考慮して、今年度は多くの費目について支出節減に努めた。 また研究分担者の一人である野村啓介は、平成25年度に海外史料調査を予定していたが、所属大学キャンパスの耐震工事の影響で研究室移転を余儀なくされ、同年度中の海外渡航を断念した。 招聘講演2回を、平成26年度または平成27年度に開催する。最終年度である平成27年度に開催する場合は、単発の講演会ではなく、研究発表会(国際シンポジウム)の基調講演をお願いし、講演者には個別報告に関する討論にも参加していただく可能性もある。 野村啓介は、平成26年度に海外史料調査を実施する予定である。
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Research Products
(6 results)