2016 Fiscal Year Annual Research Report
「グローバル化を支える技術移転の在り方に関する研究」-自動車産業のブラジル展開ー
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25285118
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
塚田 修 関東学院大学, 経済学部, 研究員 (90633884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 豊 愛知東邦大学, 経営学部, 教授 (40340400)
清 ショウ一郎 関東学院大学, 経済学部, 教授 (80171312)
板倉 宏昭 香川大学, その他の研究科, 教授 (80335835)
伊藤 誠悟 武蔵大学, 経済学部, 教授 (80612275)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営技術移転 / 自動車産業 / 新興国 / ブラジル / 日本式生産システム |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラジルでの技術移転の現状を調査するために、調査票を設計した。経営技術内容としてのTQM,TPS、及びトヨタウエイ2001の内容に当たる価値観の移転程度の32項目についてを1~6(1:知らない、6:継続的に実践)のレベルで答えるようにした。これらをウエブで回答できる書式にポルトガル語で作成した。2016年3月20日から4月7日までブラジルへ出張した。サンパウロ市で、伯日商工会議所、JETROでブラジル自動車産業のその後の状況を理解した後、日系企業であるデンソー、関自工、ミツバ、ホンダを訪問した。その後、ブラジル人研究者の紹介でメルセデス・ベンツのトラック工場見学と、リーン生産システムを伝搬するチーム・リーダーにその経過と移転過程での課題を議論することが出来た。非常にシステマチックなやり方で印象深かった。サンパウロ州ソロカバ市周辺が自動車産業のクラスターになっている。そこのCIESP(サンパウロ工業会)で、トヨタのTier1である欧米系企業、DANA,SCHERFER,ZFの工場見学と生産技術担当者とTier2育成について話合うことが出来た。そこで、調査票を説明し、回答の依頼をした。約一週間は、ブラジル南部の州であるRio Grande do Sul州のFIESP(州工業会)の招きで州都Porto Aregleを訪問し、全部で4回、日本的生産システム(ものづくり)の動向について英語で講演した。GMをはじめとして、当地のほとんどの優良企業は、リーン生産システムの導入を進めている。SINDIMETAL(金属加工連合会)での講演には、150名の参加者が集まり、熱心な質疑が交わされた。前述の調査票を説明し、回答するように依頼した。その結果、南部の州とサンパウロ周辺、全部で12件の回答を収集することが出来た。 これらの調査結果をもとに2017年3月18日日本ナレッジマネジメント学会第20回全国大会で結果を発表することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、さまざまな企業、大学、業界機関の協力を得て、現場を見て、関係者と話合うことが出来た。しかし、それらをどのような形で研究結果として表現するかについての、コンセプトの発見に苦労していた。今回、経営技術の移転を定量的な形で測定する仮説と調査票を設計し、12社の回答を得て動向をつかむことが出来た。これにより定量的な分析、考察のためのデータを得ることが出来た。第一次(12社)の調査結果の分析から、「改善」と「自主性の育成」の2点が、特に、経営技術移転上「実践の継続性」が弱い(評価1~3)項目であることが分かった。日本式経営システムは、実践され継続されないと意味がないし、技術移転が完了したことにはならない。「実践継続」を促進する方法として、結果を社員に求めるだけでなく経営者として、なぜ、改善を継続するかの「Why」としての「価値観」の伝搬、経営マインド・セットを、「コントロール型」から「コミットメント型」へ転換、モチベーションの「内部要因」と「外部要因」の最適組み合わせが大切であることが明確化した。このことは、今まで並行して進めていたトヨタディーラー300社中14年間顧客満足No.1を続けるネッツトヨタ南国の研究の結果と一致することが分かり興味深い。
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Strategy for Future Research Activity |
第一次の調査結果からサプライ・チェーンの調査、特にTier1とTier2の関係を調査する必要に気づいた。Tier1の購買政策に関する項目を追加する必要がある。今年9月ブラジルに約1か月滞在し、Tier1数社を訪問し、新調査票への回答とTier2の紹介を依頼し調査する予定にしている。これらのデータを統計処理し仮説の検証をする予定である。 JICAが新興国で経営技術移転のプロジェクトを実施した報告書をJICA図書館で見つけることが出来た。タイでの自動車裾野産業の育成、メキシコでの自動車産業基盤の支援、そして、ブラジルでの品質生産性向上センター設立である。これらのプロジェクトは本研究の意図とも一致し多くの知見を与えてくれると思われる。 その後、今までの研究内容を集大成し報告書にまとめる。来年、結果を内外いくつかの学会で発表し社会貢献をする。
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Causes of Carryover |
本年、サプライ・チェーンマネジメントでの経営技術移転調査をするために、再度ブラジルに渡航する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
8月後半から9月末までブラジルにてサプライチェーンの調査をする予定である。サンパウロ周辺では、伯日商工会議所、JETRO,日系、欧米系Tier1とそのTier2企業訪問、クリチバ周辺では、ボシュ、JTEKT,IBQCなど訪問、日本―ブラジル往復:約25万円、サンパウロークリチバ航空券:約3万円、滞在ホテル代:30日x2万円:約60万円、通訳移動代:15日x2万円:30万円、合計約118万円(赤字分は自己負担)
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