2015 Fiscal Year Annual Research Report
新製品開発における市場志向とデザイン志向に関する国際比較研究
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25285136
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
恩藏 直人 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70194652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂野 友昭 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40139506)
川上 智子 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10330169)
小野 晃典 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (20296742)
石田 大典 帝京大学, 経済学部, 助教 (80507872)
岩下 仁 九州大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (30608732)
外川 拓 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (10636848)
大平 進 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (30709001)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 新製品開発 / 市場志向 / デザイン志向 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、デザイン志向の構成要素を明らかにするため、前年度に続き、大手自動車メーカーのデザイン開発に携わる新製品開発担当者にインタビューを実施している。その上で、これまでのインタビュー結果、ならびに、Crawford & Benedetto (2014) をはじめとする製品デザインに関する先行研究に基づいて、デザイン志向の要素ならびに要素の項目を導出している。デザイン要素導出までの研究成果に関しては、American Marketing Association 2015 Summer Marketing Educator’s Conferenceにおいて、“Key Product Design Elements for Successful Product Development: An Exploratory Study of the Automotive Industry”という題目で8月に、国際学会報告を行なっている。 続いて、郵送法を用いて、わが国における製造業の製品開発・企画部門の役員・管理職600名程度を対象とした定量調査を実施した。その結果、約120名から回答をえている。調査終了後には、論理矛盾を有する回答者を削除することで、サンプルの信頼性を高めている。例えば、「被験者の役割が営業担当」であった場合、今回の対象となるデザイン開発に携わる人物には該当しないため、サンプルから削除している。また、欠損値を含むデータに関しては、欠損値を平均値へと置き換えている。各項目に関しては、項目分析を行い、基準を満たさなかった項目を削除している。上記の手続きを踏まえて、確認的因子分析で用いるサンプルと項目を抽出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、平成26年度までに導出された構成要素に基づいて、頑健なデザイン志向尺度の開発を目指す。分析手順は、(1)デザイン志向尺度の質問項目に関する確認的因子分析の実行、(2)尺度の各因子の内部一貫性の検証(Cronbach’s αなど)、(3)各次元の弁別妥当性の確認 (AVEと因子間相関係数の確認など)、(4)尺度におけるScale Dimensionalityの確認、の4段階となる。 続いて、開発されたデザイン志向尺度とともに、先行研究で開発されている市場志向尺度、そして新製品開発における主な変数を組み合わせて、市場志向とデザイン志向が新製品開発プロセスと新製品パフォーマンスに及ぼすメカニズムを示した仮説モデルを構築する。仮説モデルの構築を行なう手順は、以下のとおりである。 まず、新製品開発に関する先行研究のレビューを実施する。続いて、仮説モデルの構築にあたり、取り上げることになる測定尺度の整理と選定を行なう。各尺度に関しては、デザイン志向を除き、先行研究で開発された尺度のなかから信頼性と妥当性が頑健なものを援用する。次に、先行研究ならびにこれまで実施した自動車会社を中心とした耐久消費財企業からのインタビュー結果に基づいて、仮説モデルを構築する。 本年度には、デザイン志向尺度に関する研究成果をAmerican Marketing Association 2016 Winter Marketing Educators’Conferenceにて報告し、海外研究者からのフィードバックを得る予定である。また、デザイン 志向の尺度開発や仮説モデルに関する研究成果を報告するため、シンポジウムを開催し社会に広く発信していく予定である。この際、研究協力者を招聘するとともに、マーケティング研究で顕著な業績をあげている外国人研究者を招聘する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までには、当初の計画どおり、デザイン志向尺度を開発するため、インターネット調査が実施された。当初予定していた、デザイン志向の尺度開発にまでいたらなった理由は、前年度に実施したインターネット調査に基づいて行われた探索的因子分析の結果が芳しくなかったためである。その他については、おおむね順調に研究が遂行されていると思われる。
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Causes of Carryover |
北米自動車メーカーへの定性調査について、当初はデトロイトと西海岸の両エリアを予定していた。ところが、自動車メーカーの協力が得られ、調査を実施できたのはデトロイト・エリアのみであったため、次年度使用額が発生している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、仮説検証のための郵送調査、ならびに北米でおこなわれる国際学会での研究成果発表を予定している。この調査での費用使用を計画している。
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