2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本におけるナショナリズムと政治―時点/国際比較による実証研究
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25285146
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田辺 俊介 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (30451876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 満 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (30398028)
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
濱田 国佑 東京女学館大学, 国際関係学部, 講師 (50634523)
丸山 真央 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80551374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 政治意識 / 地域効果 / 社会調査 / 排外性 / 排外主義 / 脅威認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本全国を対象とした大規模な量的社会調査を行い、そのデータ分析によって、ナショナリズムや政治意識の実証的分析を行うものである。調査の実査については2013年度に行っており、続く2014年度はそのデータのクリーニング作業やコーディング作業を遂行しつつ、51地点のマクロデータの整備・作成を行い、様々な分析に耐えうるデータセットを完成させた。 そのデータセットを用いて分析した研究成果の概要は以下の通りである。まず本研究課題の題目の一部でもあるナショナリズムの時点間比較については、本研究グループが行った2009年の調査データと、本科研費で得た2013年データを比較によって次の2点が明らかになった。第1点として、ナショナリズムの下位概念としての「愛国主義」については、2時点間でほとんど変化はなかった。そこから、民主党政権から自民党政権への移行という政治現象が日本における愛国主義の増減には影響していないことが推察される。第2点目の排外主義については、対中国・対韓国意識が大きく変動しており、特に反中国・反韓国意識については愛国主義との関連が強くなっていた。この点は2009年から2013年の間に発生した領土を巡る諸問題などが、人々のナショナリズムの関連構造に大きな影響を与えることを示す結果と解釈できよう。また外国人増加に対する脅威認知についても、2009年では影響していた政治不信の影響はなくなり、2013年では日本社会に対する不安が影響を持つようになっていた。このように、ナショナリズムの内部構造などが社会的事件などの影響を受ける可能性が示唆された。また他にも様々な政治意識(政党支持など)についての知見が得られ、例えば原発への意見の背後には政治不信・弱者批判・靖国史観のような価値観が影響することが示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2013年に得たデータについて、様々な分析に耐えうるデータクリーニング・コーディング作業を終え、その上でマルチレベル分析に必要なマクロデータの整備も完了し、最終年度に向けて様々な研究成果を発表する準備は整っている。さらに言えば、すでに数多くの学会報告なども行って多くの知見を発表しており、さらに一部知見を取り入れた図書を出版するなど、全体として当初の予定よりも計画の進展は早い、と言って良い状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
整備したデータを前提に、様々な業績を発表していく予定である。すでに一部知見については2015年夏のECPR(European Consortium for Political Research)での報告を予定している。さらに学術的な報告書を刊行し、多くの研究者に配布することで、本研究成果を広く学会コミュニティにおいて共有可能なものとしていく予定である。また可能な限り、本年度のうちにデータをデータアーカイブに寄託し、本データを多くの研究者が分析可能とし、より発展的な知見がもたらされる環境整備の一助としたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2014年度内に、国際比較のための追加ネット調査を実施予定であった。しかし、2013年度に本科研費によって行った調査と、昨年度末に公開された国際比較調査(ISSP2013)の結果を比較した上でネット調査を行う事が望ましいと判断した。そのため、追加のネット調査については2015年度に持ち越した。そのことが、主に次年度に使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「理由」の部分にも記載した通り、国際比較のための追加ネット調査に用いる。
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Remarks |
調査に関するwebページであるが、現在、一部の成果公開なども行っている。
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Research Products
(15 results)