2014 Fiscal Year Annual Research Report
価値意識と階層構造の変容にかんする比較社会学的研究
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25285148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太郎丸 博 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60273570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
柴田 悠 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50631909)
田靡 裕祐 立命館大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80619065)
真鍋 一史 青山学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90098385)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 価値 / 社会意識 / 性役割意識 / 近代化 / 脱近代化 / 後期近代 / 労働価値 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
価値観の多様性の変化と社会経済的な要因の価値観に対する影響力の変化について研究した。価値観が多様化しているとする説は珍しくないが、NHKの日本人の意識データで我々が検討した項目で、はっきりとした多様化が観察されたのは、「好きな外国」と「生活目標」だけで、性役割意識、ナショナリズム、投票以外の政治参加に関してはどれも多様性は上がったり下がったりで、明確なトレンドは見られなかった。社会経済的な要因の価値観に対する影響力が弱まっているかどうかについては、どの意識項目に関しても弱まったり強まったりで、やはり明確なトレンドは見られなかった。これらはいずれも一部のポストモダニズム論で主張された説であるが、いずれも支持されなかった。 東アジアの社会階層と社会意識に関しても研究を行い、日本と韓国、台湾と中国の類似性が確認された。台湾と中国が類似していることはそれほど不思議ではないが、政治経済体制の違いをかんがみると興味深い結果である。 さらに排外意識や投票外政治活動に表れる政治意識、婚前交渉観、生活満足度/幸福感、原発などのリスクに関する意識、所得の再分配に関する態度について、それらの現状と変化について記述・説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
価値観の変動についての研究は蓄積し、検討する意識項目も広がりを持つことができた。国際比較に関しても2回の海外の研究協力者を交えたシンポジウムを行い、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較がややまとまりを欠くので、これまでの成果を整理し、系統的な国際比較分析に高めていく。そのために、現在よりももっと具体的な統一テーマ/方法を設定する予定である。具体的には、基礎的な作業としての国際比較可能性についての検討を共同で行うことを検討中である。比較可能性をチェックする方法として確証的因子分析があるが、これを使って、日本と諸外国の比較可能性を系統的に検討していけるかもしれない。具体的には研究会で詰めていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたシンポジウムの登壇者(海外の研究協力者)の来日がキャンセルになったため、当初より予算が余った。その分は学会発表のための国内旅費やパソコンの更新などに活用したが、若干の残金がでた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究補助のアルバイトで利用する予定である。
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Remarks |
研究代表者のブログで科研の研究成果だけでなく、その他の研究ノートなど研究にかかわる雑多な内容のページ
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