2013 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における「限界集落」の維持・再生に関する実証的研究
Project/Area Number |
25285156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Asahikawa University |
Principal Investigator |
鎌田 とし子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (00086323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 哲宏 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (40022256)
大野 剛志 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (40530118)
山下 由紀夫 旭川大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70592947)
嶋崎 東子 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (40530126)
栗田 克実 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (30530109)
松浦 智和 旭川大学, 保健福祉学部, 助教 (90530113)
佐々木 悟 旭川大学, 経済学部, 名誉教授 (60254661)
豊島 琴恵 旭川大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90289695)
高波 澄子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (70281772)
羽原 美奈子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (30279434)
中澤 香織 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (80640474)
信木 晴雄 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (60438330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 限界集落 / 地域再生 / QOL / 定住意識 |
Research Abstract |
本研究は、限界集落の維持・再生の社会的条件を探ることを目的とするため、研究の対象を、比較の原点として①現在限界化現象が進行中の「限界集落」、次いで②限界化を食い止め「現状を維持している集落」、さらに③危機を脱し「再生に向かいつつある集落」の3つを選び、それぞれが持つ条件を明らかにすることにした。 今年度は、道内最小で、かつ唯一の行政村「音威子府村」を選んだ。村の構成には特徴があり、本来の<農業・酪農業集落>の他に、鉄道分岐点に位置したため旧国鉄従業者、ならびに温泉施設や商店、村立高校教職員や役場職員といった農業以外の住民が居住するいわゆる<市街地>の2地区に大きく二分される。本研究の目的に沿って、前者の「集落」を主要な対象とし、必要に応じて「市街地」住民を取り上げた。 調査は、平成25年8月に総勢60名で行われた。調査内容は、所得構成と家計費、社会諸関係、共同作業、相互扶助、購買行動、看護・介護・医療、食生活、教育、精神衛生、生活意識と価値観、自治体行財政を含む生活全般にわたる詳細な実態が明らかにされた。調査には膨大な時間を要したが、<集落>の全戸悉皆調査を完了し、<市街地>についても調査を終了した。これと並行して、教育委員会を通して小・中学校、高校の児童生徒調査、また役場職員の意識調査も行い、音威子府村調査は完了した。 現在、収集されたデータシートをもとに各自集計・分析中であるが、配偶者を喪って一人暮らしになった老人が多く、労働意欲もボランティア志望者も少なく、若い年齢層への負担が重い。生活全般にわたって充足しており、定住意識は強く現状満足感を保持しでいる。 この本体調査のほかに、今年度は、全道各地の典型事例として3つの自治体(帯広市、下川町、せたな町)を取り上げ、担当者が聞き取り調査を実施し完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、音威子府村の集落で生活を営んでいる住民に対して、インテンシブな調査を実施することを本研究の中心的な課題に設定し、これを達成することができた。また、全道の消滅並びに特徴的な限界集落調査についても、今年度は研究分担者によって、当初の設定どおり北海道内の3市町村の聴き取り調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成26年度は、音威子府村で得られたデータをベースとして、準限界集落を有する増毛町について、インテンシブな調査研究を実施し、この地域が限界集落に転落しないで踏みとどまっている条件を明らかにする。 また、最終年度には、縮小ないし消滅に向かいつつある多くの集落の中にあって、再生を果たしつつある東川町を対象に、インテンシブな個別訪問調査を行う。 これらの取り組みと並行して、全道の消滅ならびに特徴的な限界集落調査について、北海道内の7市町村の聴き取り調査を実施することを計画している。 これらの調査を基礎として、限界集落からの再生・維持の条件を摘出することが本研究の最終的なねらいである。 研究組織については、今年度は特に問題を生じていないため、この体制を継続して取り組むことにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度末に音威子府村調査の現地報告会を開催することを計画し、その費用を計上していたところであるが、実施時期を検討した結果、平成26年度に開催することとなり、その分の旅費・会議費について次年度に繰り越して使用することとした。 前述のとおり、今年度に音威子府村での現地報告会を開催する。本繰越額については、研究者および調査を実施した者の移動旅費(宿泊交通費)、会議経費(茶菓を含む)に充てられる。
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