2014 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における「限界集落」の維持・再生に関する実証的研究
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25285156
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Research Institution | Asahikawa University |
Principal Investigator |
鎌田 とし子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (00086323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 哲宏 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (40022256)
大野 剛志 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (40530118)
嶋崎 東子 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (40530126)
栗田 克実 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (30530109)
佐々木 悟 旭川大学, 経済学部, 名誉教授 (60254661)
信木 晴雄 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (60438330)
松浦 智和 旭川大学, 保健福祉学部, 助教 (90530113)
山下 由紀夫 旭川大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70592947)
羽原 美奈子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (30279434)
高波 澄子 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (70281772)
豊島 琴恵 旭川大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90289695)
中澤 香織 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (80640474)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 限界集落 / 地域再生 / QOL / 定住意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年度における研究の目的は、人口は減少しているものの速度が遅く、集落を維持し存続も可能と思われる集落を対象に悉皆調査を行い、維持・存続の条件をさぐることを目的にした。調査対象は増毛町の漁村「別苅集落」とした。 増毛町は漁業を中心として発展したまちであるが、昭和33年以降ニシンが全く捕れなくなったことが衰退の決定的な原因であった。しかし今日までなんとか持ちこたえてきた要因として,いち早い各産業・各業種内での政策転換によって雇用を維持あるいは創出したことが住民の離村をくい止めたとみられる。 すなわち、水産加工業においては、ニシンをカナダから輸入することによって、高級食材「かずのこ」の生産を継続し、市場の独占を守ったこと、漁業も養殖漁業、または魚種の転換等の工夫によって息を吹き返したこと、農業の衰退を果樹園の隆盛によって乗り切り主要な産業としたこと、住民が今まで気づかなかった文化的遺産や食の再発見により観光業につなげたこと、退職教員が自主的にガイドや地域の役職を引き受けて、地域の発展に寄与するなどの,実に多角的な努力の結果が「多彩な雇用」の機会を生み出し、住民がこの地に踏みとどまることを可能にしたと思われる。この「季節循環型兼業世帯」の存在を把握することができたのは最大の成果であった。 調査は、平成26年9月1日から5日まで22名の調査員・7名の研究者を動員して一斉に行った。悉皆調査を実施した結果、45票を完成させることが出来た。またこの他に、予定していた地域の典型集落調査としては、ニセコ町を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、増毛町の別苅集落においてインテンシブな住民調査を行うことを中心課題に設定し、年度内にこれを達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、縮小ないし消滅に向かいつつある多くの集落の中にあって再生を果たしつつある東川町を対象にインテンシブな個別訪問調査を行う。 この調査は、2年間にわたる調査結果と比較して、再生が可能になった条件は何かを追及するまとめの調査になることから、調査員を含む30名規模の調査組織を編成し戸別調査を実施し、本研究のまとめを行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施した増毛町本調査の報告等について、今年度においても継続して作成するために、それらに要する経費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、増毛町本調査の分析を昨年度に引き続き実施することに加え、現地への報告資料を作成する。また、今年度は最終年度であるので、東川町本調査を含め、増毛町・音威子府村の3町村での調査結果の総括を行い、最終報告書を作成する。
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