2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25285158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
石黒 格 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (90333707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野沢 慎司 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40218318)
三田 泰雅 四日市大学, 総合政策学部, 講師 (30582431)
針原 素子 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (80615667)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パーソナル・ネットワーク / 都市度 / ICT / 家族観 / ソーシャル・サポート |
Research Abstract |
平成25年度は研究計画初年度であり、その達成目標は、問題の洗い出し、先行研究のレビュー、既存データの集積と再分析であった。さらに、本研究課題の目的は、1993年に行われた調査(オリジナル調査)の追試であるため、当該調査実施の中心人物であった野沢を中心に、オリジナル調査の、実査にかかわる資料を収集した。研究会を4回開催し、各自の成果を共有した。 本研究課題に関係して、重要な成果は、以下の通りである。全体として言えるのは、回答者の意識を尋ねた場合には、変化が示唆されるのに対して、具体的に人数を測定した場合には、大きな変化は観察されない。この結果は、北米での報告と一貫し、日本でも人間関係に大きな変化はなかったとする予測を導出することができた。ほかに、以下の知見を得た。 ・本研究課題で取得を目指すデータは、現在でも、ICT普及以前である90年代初頭からの、日本人の社会関係の変化を明らかにできる、唯一のデータとなる。 ・中高年の日本人の人間関係については、ニッセイ基礎研究所が1997年から2005年にかけて行った「中高年パネル調査」が存在する。このデータを再分析した結果、人間関係の、量的な側面の変化はほとんどないし、変化は、加齢に伴うライフコース上の変化で説明可能である。ただし、このデータは、SNS普及後が含まれていない。 ・人間関係に関する考え方にかかわるデータとしては、放送文化研究所の「日本人の意識調査」がある。その結果によると、過去40年間に、重要視する人間関係のタイプは変化している。すなわち、友人と家族との関係を重んじる傾向が強くなっている反面、親族、近隣、同僚とは、形式的な関係のみを保つことを望む傾向が強くなっている。 ・海野・片瀬編「<失われた時代>の高校生の意識」によると、友人と時空間を共有する行動(「群れ行動」)を行うという回答が増加している一方で、親友数に変化はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、26年度の初頭に質問紙を完成させる予定であったが、25年度内に質問紙を完成させることができた。また、別欄に記載したように、研究計画初年度としては十分な数の業績を出版することもできた。 先行研究のレビューを行った結果、人間関係について、過去10~20年間の起きた変化は、意識については比較的大きいものの、具体的な人数には、それほど大きな変化は起きていないという点で、ほぼ一貫した知見が得られた。そのため、本研究課題の遂行が必要である実査の前に、比較的明確な予測を導出できている。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究の調査が実施されたのと同じ6月から7月にかけて、追試を実施する。上述のように、質問紙は昨年度の研究活動ですでに完成しており、実査のために必要な手続きは、業者の選定と調査計画の策定である。調査法を可能な限り一貫させるために、調査の委託先は、新情報センターに限定される。研究費の9割、700万円程度を調査費として用いる。 調査対象地である朝霞市、山形市のいずれも、先行研究が行われた1993年以来、自治体の合併は行われなかったため、サンプリング計画については、通常の方式で問題ない。しかし、夫婦のサンプリングには対処が必要であった。1993年には住民基本台帳の閲覧が比較的自由であり、続柄が明らかであったため、サンプリングの段階で夫婦のみを抽出することが可能であった。しかし、現在では、続柄に関する情報を得ることはできない。そこで、年齢が比較的近い女性と同居している男性をサンプリングし、調査依頼時に婚姻状態を確認する手続きをとることとした。対象者外が抽出される可能性を考慮し、計画数を、予算が許す範囲で増加させた。計画数の増加は、1993年と比較したときに期待される、回収率の低下への対応でもある。 8月以降は、データの分析と、成果の検討・発表に当てる。5回の研究会を、東京周辺の会場で開催し、各自の分析結果を共有する。3月開催の数理社会学会など、年度後半に参加申し込みが可能な学会大会において、研究成果の速報を報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費助成が申請額に対して減額されたため、平成26年度の調査費用に不足が生じた。そのため、平成25年度の学術研究助成基金助成金の使用を最低限に留め、繰り越すことで、調査費用の不足を補うこととした。 平成26年度に繰り越した学術研究助成基金助成金については、全額を調査委託費として支出する。調査の実施は、平成26年度の6~7月にかけてである。
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Research Products
(15 results)