2013 Fiscal Year Annual Research Report
「都心回帰」時代の大都市都心における地域コミュニティの限界化と再生に関する研究
Project/Area Number |
25285160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鰺坂 学 同志社大学, 社会学部, 教授 (60135960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 慎一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (40202593)
杉本 久未子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (60340882)
西村 雄郎 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50164588)
丸山 真央 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80551374)
上野 淳子 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (30582788)
堤 圭史郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (70514826)
徳田 剛 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 准教授 (60346286)
田中 志敬 福井大学, 教育地域科学部, 助教 (80612407)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都心回帰 / 札幌市中央区 / 福岡市中央区 / 東京都中央区 / 名古屋中区 |
Research Abstract |
平成25年度には、これまでの調査研究を踏まえて、①5月には地域社会学会の大会で代表者及び分担者の5人のメンバーが報告を行い、7月には東海社会学会の大会で1人のメンバーが報告を行った。それらの報告では、一定の評価をうけて様々なコメントが寄せられ、今後の調査研究に大きな教唆を得た。 これらを踏まえて、②年間5回の「大都市都心研究会」を研究協力者の参加も得て開催し、情報を交換、研究の方向性や方法、調査対象地の選定を行った。 具体的な調査研究としては、③東京都中央区および名古屋市中区の区役所へのインタビュー調査および両区のマンション住民約1000名への郵送アンケート調査を行った。それぞれ30%および38%の回答を得た。また、都心区の住民との比較データを得るため、大阪府豊中市の千里ニュータウンと愛知県豊田市の山間部の市支所へのインタビュー及び合計で約1000人の住民への郵送アンケート調査を行い、34%及び48%の回答を得た。これらの4地域へのアンケート調査についてはデータ整理及びデータ入力を完了した。④北海道の中枢都市である札幌市の中央区役所および同区の3つの地域センターと同連合町内会の役員へのインタビューと調査対象のマンションの現地見学を行った。⑤福岡市中央区および博多区の地域コミュニティにてそれぞれ1箇所ずつ聞き取り調査を行った。⑥「都心回帰」を見せている大阪市の商店街の状況を知るため、大阪市商店街連合会の協力を得て、同市の約500の商店街の役員に対して郵送調査を行い、約3割の回答を得た。 研究成果としては、代表者を含む4名のメンバーによる「『都心回帰』時代の大都市都心地区におけるコミュニティとマンション住民」と題する大部の報告論文が6月と9月に分けて発刊され、多くの関連研究者にお送りし、評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、①これまでの調査研究の成果を関連学会で報告し、一定の評価を得ることができた。②従前から計画していた東京都中央区と名古屋市中区の量的調査を行政側の協力を得て無事に終了できた。とくに東京都中央区に関しては、そもそも近年、選挙人名簿を使っての学術的なサンプリング調査自体が行われておらず、また回答率も何とか30%を達成し、この種の調査においては評価できるデータを得たと思われる。また、研究協力者の助力を得て、大阪府豊中市の千里ニュータウンと愛知県豊田市の山間部の住民への郵送アンケート調査も行い、34%及び48%の回答があり、比較対象のデータを得たことも大きな成果である。これらの4地域へのアンケート調査については、調査票のデータ整理及びデータ・クリーニングも終了し、平成26年度にはその分析が可能な状態となっている。③大阪市の商店街調査については、突然に大阪市長の出直し選挙があったために、調査の日程を大幅に繰り下げざるを得なくなり、実施が遅れていたが、何とか年度内に実態調査が実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は以下のことを目途にして研究を進める。 (1)都心部の地域住民へのインタビュー:対象都市の都心部のコミュニティを担ってきた地域住民組織の役員にインタビューを行い、その地域の変容を把握する。この際、既存地域住民とマンション住民や外国人居住者との関係、既存企業(大企業から自営業まで)や新たに進出してきた企業の経営者との交流や関係について注意を払う。これにより、①新旧住民間、②旧住民と日系外国人、③日本人と外国人(オールドタイマーとニューカマー)、④NPOや地域住民組織のコミュニティの再生の取り組みについて探る。(2)マンション住民へのアンケート調査:2つの都市を選定し、その都心部に住む10~20棟のマンション住民へのアンケート調査(合計2000人程度)を行う。これらの都市のマンション住民のデータとこれまでに行った5大都市のマンション住民への調査データを比較・解析し、大都市中心部に住むマンション住民の動向について比較分析を行う。(3)小地域住民へのアンケート調査:3つの大都市から1~2つの小地域(小学校区など)を選び、非マンション住民も含めて小地域全住民を対象としてサンプリングしたアンケート調査(各500人程度)を実施する。これによりマンション住民と非マンション住民の関係や地域コミュニティに関する志向の差異を析出する。 平成27年度は以下のことを目途にして研究を進める。 (1)共同性の再生の仕組みの追究:「都心回帰」により都心に居住するようになった新住民と都心に残っていた既存住民、外国人と日本人との間にある「ずれ」「裂け目」や不可視化の構造を把握し、それらの両住民を架橋する仕組み(共同性の再生)を読み解く。これにより「限界」化している地域コミュニティの再形成の方途について自治体行政、地域住民組織、地域住民に提言ができると考える。(2)ワークショップの開催(3)報告書の作成
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
量的調査の回収が予定より大幅に増えたので、郵送料および調査回答者への謝礼の代金が増えたため。 平成26年度には、京都市中京区・右京区および大阪市中央区での大量の調査を予定しているので、ここでの郵送費、調査協力者への謝礼として使用する。
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Research Products
(8 results)