2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者保健福祉専門職の離転職の関連要因とその予防策に関する国際比較研究
Project/Area Number |
25285173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
石川 久展 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (80222967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 三重 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00213900)
松岡 克尚 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (90289330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 燃えつき / 専門職ネットワーク / 高齢者施設 / 介護保険 / 専門職支援 |
Research Abstract |
初年度である平成25年度は、本研究テーマに関する理論研究および調査デザイン、特に質問紙調査の枠組み作りを中心に研究を進めてきた。まず、同じ研究機関に所属する研究代表者の石川、研究分担者の大和氏、松岡氏を中心に関西在住の研究協力者である澤田氏を加え、何度か研究会を開き、燃えつきとその関連要因に関して検討を行ってきた。特に、専門職ネットワーク、ソーシャルサポート、職員満足度などの尺度構成については何度か検討を行い、平成25年の12月にはおおよその枠組みを設定することができた。研究代表者である石川は関東在住の研究協力者である奥山氏、金氏、渡辺氏と何度かそれぞれが所属する機関の研究室で合い、上記以外の尺度や関連要因の概念についての可能性の検討を行ってきた。平成25年度は、研究代表者である石川が平成26年度にハワイに1年間留学することもあり、ハワイでの調査実施のために、調査項目の設定やその他の海外での調査の準備も行った。 本年度の研究成果としては、6月に韓国ソウルで開かれた第20回国際老年学会において、石川、奥山氏、渡辺氏、金氏がそれぞれの研究テーマで研究発表を行った。また、石川、澤田氏、渡辺氏は、9月に北海道札幌の北星学園大学で開かれた日本社会福祉学会第61回秋季大会において各自のテーマで研究発表を行った。次に、論文についてであるが、2014年3月に刊行された関西学院大学人間福祉学部の紀要である『Human Welfare』第6巻第1号に、「韓国における療養保護士のバーンアウトの関連要因に関する研究―ソーシャルサポートとコントロール要因を中心に―」を投稿し、掲載された。また、大和氏は、単著『介護人材の定着促進に向けて: 職務満足度の影響を探る』(関西学院大学研究叢書)』、さらに『人間福祉学研究』と『老年社会科学』の2つの学術雑誌に論文が掲載された。以上が研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的の達成度についてであるが、平成25年度は初年度であり、本研究の研究目的は、理論研究および調査デザイン・調査枠組みの設定することを中心としていたが、それらについてはおおむね達成できたと評価できる。特に、燃えつきとその関連要因の調査項目については、燃えつき尺度、職務満足度尺度、コントロール尺度、ソーシャルサポート尺度、専門職ネットワーク尺度等を中心に検討を行い、それらはほぼ完成している。また、国際比較研究の一環である韓国での調査については、昨年6月に韓国で行われた国際老年学会参加時に韓国の研究者と打ち合わせを行ってきた。日本の調査対象者の選定についても研究者同士で検討を行い、これから具体的に打診をしていく予定である。 次に、当初の交付申請時の研究目的では、研究代表者である石川が平成26年度ニュージーランドに留学し、ニュージーランドにおいて研究を進める予定であったが、受け入れ先大学等の事情など、諸般の事情により、留学先をアメリカ・ハワイ州にあるハワイ大学に変更した。その結果、国際比較研究の対象がニュージーランドからアメリカ・ハワイに変更することになった。ただし、ハワイには様々な人種の高齢者が在住しており、高齢者施設のニーズが非常に高いこと、また、ハワイ大学の受け入れ教員であるDr. Kim Bung Jungが同じようなテーマの研究を行っており、共同研究をすることがより可能となったことから、留学先・調査対象が変更となっても大きな支障はなく、むしろ研究体制としてはより充実することとなり、国際比較研究という研究目的の達成度もおおむね高いと評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、研究代表者である石川がハワイ大学に留学している平成26年度1年間の方策について記述する。当初の予定では、研究対象あるいは研究先がニュージーランドであったが、研究先がアメリカ州ハワイ大学になった事が大きな変更点である。ただし、受け入れ研究者であるDr. Kim Bung Jungは、本研究課題と非常に研究テーマが近いこともあり、しかも韓国出身ということから、本研究課題に関心をもち、ハワイ大学ソーシャルワーク学部で全面的に研究支援を受けることとなった。現状では、4月から8月までは、アメリカ・ハワイ州での調査実施のために、ハワイ州の高齢化の特徴や高齢者施設の特性に関する情報収集を行い、その上で調査デザインおよび調査票の再設定や再確認を行う予定である。9月と10月には、ハワイ大学の研究倫理審査委員会に審査を受け、その後、10月下旬から11月中旬にかけて調査を実施する予定である。日程については、ハワイ大学ソーシャルワーク学部の学部長の了解を得ており、そのための協力についても約束を得ている。ただし、調査内容が介護職等の専門職の燃えつきということから、倫理的な課題が無いとはいえず、倫理審査委員会の審査結果によっては多少の調査内容の変更が求められることもあるが、それも含めた協力をソーシャルワーク学部から得られる予定である。なお、調査実施後は、データ入力およびデータ結果の打ち合わせを年度末に行い、研究成果の発表については、平成27年度以降となる予定である。なお、研究代表者以外の日本にいる研究分担者や研究協力者は、今後実施する予定の日本および韓国での調査実施の準備に取りかかる予定である。以上が今後の研究の推進方策である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由としては、当初の計画では日本、韓国、ニュージーランドの3カ国の国際比較研究を行う予定であったが、2年目に予定していたニュージーランドでの研究を諸般の事情で変更する必要が生じ、その結果、アメリカ・ハワイ州に調査地を変更したので、特に、ニュージーランド往復旅費が必要でなくなり、旅費に差額が生じた。また、平成25年度には、現場の専門職からヒアリングをし、謝礼を支払う予定であったが、研究代表者や研究分担者が実践教育等で関わる現場の専門職に対して、それぞれの実践の場で意見収集を中心に行い、謝金を支払う必要がなくなったので、人件費・謝金に差額が生じた。 平成26年度は、ハワイ州で調査を行う予定であるが、ハワイ州といってもハワイ大学マノア校のあるオアフ島、ヒロ校のあるハワイ島、まだ日系高齢者コミュニティのあるマウイ島など、様々な地域特性があり、それらの地域での情報を収集するための旅費や、また研究分担者との打ち合わせのための日本・ハワイの往復旅費が必要となる。さらに、ハワイでの調査実施に際しては日本語と英語について様々な翻訳・通訳作業が必要なことから、翻訳・通訳謝礼、アンケート調査実施に関しては、アシスタントが必要であり、彼らの賃金が必要となる。調査対象者に対しては一人10ドル程度の謝礼品が必要なので、謝礼品代も必要となる。最後に、韓国での調査研究の準備をスタートさせるために、韓国人大学院生に日本語・韓国語の翻訳作業のアルバイト謝金も支払う予定である。物品費はハワイ大学に研究環境がある程度整っていることから、あまり必要としない。
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Research Products
(9 results)