2013 Fiscal Year Annual Research Report
地域包括ケアシステムの構築に関するプロセス評価とアウトカム評価
Project/Area Number |
25285175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
杉原 陽子 鎌倉女子大学, 家政学部, 准教授 (80311405)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域包括ケアシステム / 政策評価 / ソーシャルキャピタル / 健康格差 / 単身世帯 / 生活不安 / 介護負担 |
Research Abstract |
地域包括ケアシステムの構築が介護政策における重要な目標となっているが、その具体的な進め方は明確になっておらず、多くの課題がある。この状況を踏まえ、本研究は、東京都内の一自治体にて地域包括ケアシステムの展開過程のプロセス評価とアウトカム評価を行い、地域包括ケアシステムを構築する上での示唆を得ることを目的としている。 平成25年度は、「アウトカム評価のためのベースライン調査」を主に実施した。ベースライン調査の目的は、高齢者の生活上の課題や支援ニーズの充足状況等の現状を把握し、今後の地域包括ケアシステムの展開により、これらの状況がどのように変化するかを調べ、アウトカム評価を行うことにある。 調査は、「65歳以上の住民」「要支援認定者本人」「要介護認定者の主介護者または本人」に対して実施した。「住民調査」は、65歳以上の住民から無作為に1/10を抽出した3,648人に対して郵送調査を行った(回収率67.1%)。「要支援認定者調査」と「要介護認定者調査」は、各介護度から200人ずつを無作為抽出した計1,200人に戸別訪問面接調査を実施した。要支援認定者調査は本人に、要介護認定者調査は原則、主に介護している家族に対して調査を行った(完了率はそれぞれ80.8%と67.5%)。 調査の結果、低所得者や公営住宅居住者など経済階層が低い人は多くの健康指標で状態が低位である、半数の高齢者が必要な時に介護サービスや医療を受けられないのではないかと不安に感じている、単身世帯の高齢者は低所得、低健康、孤独感が強いなどの問題が多い、地域の問題として「住民同士の交流が乏しい」ことを挙げる人が多い、要支援認定者の半数は急な体調不良時に対応してくれる人がいない、要介護認定者の介護者の半数は介護を代わってくれる人がおらず、精神的にもまいっていると感じている、等の状況が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」の通りに研究を実施することができたので、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施した調査データの解析を進め、成果の公表を行うとともに、次年度の研究計画に即して研究を進める。次年度は、ベースライン調査で明らかとなった課題を自治体や地域包括ケアシステムに関わる関係者にフィードバックし、各所・各人の対応や意見を参与観察やヒアリング等により把握すること、地域包括支援センターや介護サービス事業者、住民ボランティア等にインタビューし、それぞれの現状と課題を明らかにすること等に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費については、大学から支給される研究費も利用することができたため、科研費については年度当初に想定していた金額よりも安く済ませることができた。 翌年度実施予定の調査の費用(データ処理の委託費、研究補助者の人件費、協力者への謝金、等)や成果発表のための旅費にあてる予定である。
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Research Products
(7 results)