2013 Fiscal Year Annual Research Report
致死的疾患の再発・転移の不安、恐怖の評価法の確立および新規心理学的介入方法の開発
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25285194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
明智 龍男 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80281682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 悪性腫瘍 / 再発 / 不安 |
Research Abstract |
がんはわが国における総死亡の30%以上を占め、年間70万人以上が罹患するなど、わが国最大の健康問題である。加えて、がん患者の約半数に精神保健の専門家の関与が望まれる精神心理的苦痛がみられ、中でも頻度が高く患者のケアニードが高いものに再発/転移の不安、恐怖があげられる。一方では、内外を通して、本症状に対する適切な介入方法についての知見は存在しない。本研究では、がん患者の経験する再発・転移の不安を評価する方法を確立し、新たな心理学的な治療プログラムとして、費用対効果のすぐれた新たな介入を開発することを目的とする。 平成25年度は、がん患者の再発/転移の不安・恐怖を評価するための方法を確立するために米国で開発されたConcerns About Recurrence Scale (CARS)の日本語版をforward-backward法にて作成した。そして、外来通院中の乳がん患者375名を対象として、CARS日本語版に加え、不安・抑うつを測定する尺度であるHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)日本語版を実施し、計量心理学的にその信頼性・妥当性を検討した。 その結果、CARS日本語版では、原版とは異なる4因子構造(Health and Death Worries、Womanhood Worries、Self-valued Worries、Role Worries)を有することが示され、これらはスコア全体の分散の59.2%を占めていた。またこれら4つの下位尺度の内的整合性を示すクロンバックα係数は0.86から0.94であり、HADS日本語版とも有意な関連(相関係数0.39 ~0.60)が示された。これらのことから文化差を反映して若干の因子構造の差異が認められるものの、CARS日本語版の信頼性、妥当性は高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題解決能力と再発不安との関連に関しての統計学的検討は間に合わなかったが、データはすでに得られており、その他に関しても概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究費の減額のためICTを用いた新たな心理社会的介入の開発は難しいと考えていたが、予想以上に低コストで作成できる可能性がでてきたため、可能な限りスマートフォンを利用した問題解決技法の介入パッケージを開発して、より一層魅力的な研究として推進したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スマートフォンを用いた介入方法の開発を26年度に行う研究費を捻出するため。 スマートフォンを利用した問題解決技法の介入パッケージを開発する。
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Research Products
(1 results)