2014 Fiscal Year Annual Research Report
「校長の専門職基準」を踏まえたスクールリーダー教育の可能性
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25285219
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
牛渡 淳 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (30151856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元兼 正浩 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (10263998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スクールリーダー / 専門職基準 / 管理職研修 / 教職大学院 / スクールマネジメント / 学校経営 / ケースメソッド / 校長 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「校長の専門職基準」を基にした「校長の能力」研究については、「コンピテンシー」概念を中心にした校長養成の実際を、二人のメンバーがイギリスの調査から明らかにした。また、特に、スクールリーダーのデータ活用力の重要さに鑑み、データを活用した学校改善事例を分析することにより、その構成要素の抽出を試みた。さらに、アメリカにおける校長の専門職基準が2104年に改訂されたことから、新しい基準を分析し、校長の能力のとらえ方の新しい枠組みについて明らかにした。 2.「校長の専門職基準」を基にした「校長育成プログラム及び教育方法の開発」については、まず、著書『次世代スクールリーダーたのめのケースメソッド入門』(花書院)を出版した(2014年8月)。これは、校長の専門職基準に準拠した、校長養成のための新しい教育方法のために開発されたものである。さらに、スクールリーダー養成の新しい方法としての「アクションリサーチ」について、教職大学院を対象とした調査から分析した。さらに、我が国の都道府県の教育センターにおける研修体系の分析を行うことにより、教職キャリアにおける行政研修の役割と課題を明らかにした。 以上の内容については、中間報告書『校長の専門職基準を踏まえたスクールリーダー教育の可能性 研究成果中間報告書』にまとめた。さらに、2014年6月の日本教育経営学会大会において、フォーラムを実施し、アメリカ、イギリス、中国、韓国における学校管理職養成と専門職基準について報告と議論を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に示した二つの調査について、第一に、「校長の専門職基準」を基にした「校長の能力」研究に関しては、「コンピテンシー」概念とそれに基づく養成のあり方について、イギリスを例として分析を進めることができた。また、ケースメソッド関する著書を出版し、専門職基準にもどついて校長に求められる具体的な能力の事例を示した。さらに、アクションリサーチやデータ活用能力の研究を通して、スクールリーダーの具体的能力を分析し、教育センターの研修体系の分析を通して行政研修の課題を明らかにした。 第二に、諸外国の専門職基準や養成・研修研究に関しては、イギリス、スコットランド、アメリカの研究を行った。イギリスとスコットランドについては、上記に示したコンピテンシー概念とそれに基づく養成フログラムを明らかにした。また、アメリカについては、ISLICの専門職基準が2014年に改訂されたことから、その内容と背景を明らかにした。また、2014年6月の日本教育経営学会大会で、米・英・中・韓4か国の学校管理職養成と専門職基準についてのフォーラムを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目として予定しているのは、第一に、6月に日本教育経営学会において、校長の専門職基準の在り方と今後の課題についてのシンポジウムを開催することである。第二に、これまでの本科研の一部をまとめた著書『校長の専門職基準の課題』を出版する予定である。第三に、今年度中ごろに全体会を開き、最終年度の研究計画の方法と確認を、年度末に3年間の研究の総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
第一に、研究チームのメンバーのほとんどが西日本の大学の教員であるため、研究打ち合わせや調査などに必要な旅費が少なくて済んだこと、第二に、中間報告書の完成が新年度にずれ込んだために、今年度の支出額が少なくなったこと、第三に、外国調査にでかけるメンバーが、諸事情のため少なくなったこと、第四に、人件費がほとんど不要だったこと、等があげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度においては、まず、昨年度作成予定であった中間報告書の印刷・製本代に支出する。さらに、6月の日本教育経営学会大会で行う予定のフォーラムにかかる諸経費(出張費用等)に充てる。さらに、7~8月に行う予定の平成27年度第一回全大会、及び、平成28年2月に予定している第二回全体会議にかかる旅費等の諸費用、外国調査の追加、関連図書の購入、インタビュー調査や学会大会への資料調査、資料整理用のパソコンソフト、その他に充てる予定である。
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