2015 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の職業的資質形成の構造変容に関する比較縦断的研究―専門学修と就労経験の役割
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25285229
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺田 盛紀 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80197805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 將暢 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (20536487)
清水 和秋 関西大学, 社会学部, 教授 (40140248)
石嶺 ちづる 自由が丘産能短期大学, 能率科, 講師 (80551655)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大学生 / 職業基礎力 / 職業観 / 国際比較 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本、アメリカ、ドイツ、韓国の4カ国のうち、職業系短期大学生に対する縦断質問紙調査(2014年秋から2015年春にかけて実施)結果に関する比較縦断分析を行った。データ集計(2015年春)に間に合った日韓3職業系短期大学の学生(日本の短期大学生100名、日本の専門学校生117名、韓国の専門大学生125名)の分析によると、職業系短期大学生の職業基礎力(仕事マネジメント力、語学・情報処理力、身体運動力、技術力、コミュニケーション力など5因子)や職業観(自己実現志向、生活・安定志向、組織・会社志向、職人・趣味志向の4因子)の形成(2013年度調査と2014年度の同一2調査間)における専門学修や就労経験が前者には全般的にポジティブに働くことが確認された。しかし、後者はほとんど変化がみられないか、職業観得点が低下する中で積極的な作用が見られなかった。学生は将来の職業能力形成に焦点化し、職業観を一時棚挙げにする傾向にあるかと思われる。 ただしかし、それら職業系短大生の場合、一般的にインターンシップや各種のキャリアプログラムへの取り組みがわずかであることも作用していると考えられた。 2か国の比較では、大学制度の中に位置づけられている韓国の専門大学生の自己肯定観、職業基礎力、職業観の得点が高いこと、日本の短大生、専門学校生の比較では専門学校生の方が伸張が目立つことも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年と2014年の計画(職業系短大生の調査・分析)と2015年の計画(4年制大学生の調査・分析)をすでに終え、残るのは最終年度に予定し、2015年に実施した4年制大学生のデータ分析と総括的な分析、理論化である。 日本とドイツの4年制大学生の縦断分析で得られたデータが少ないという問題が生じたが、一応予想の範囲内であり、代替的分析(その回かぎりの調査参加者データの機関種別横断的比較)によって補う予定である。そのことが予想以上の結果を得られていないという理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、4年制大学生(とくに、アメリカ、韓国、日本)の縦断分析、2回目(2015年度)調査データの横断的分析、総括的分析・理論化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前所属機関(名古屋大学)の退職時期と重なったため、予定していた国際ワークショップが実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度前半期に、これまでの総括的研究交流をかねて、国際ワークショップを実施し、繰越額を執行する。
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Research Products
(9 results)