2014 Fiscal Year Annual Research Report
国語科教育改善のための言語コミュニケーション能力の発達に関する連携的・実案的研究
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25285246
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
植山 俊宏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50193850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智生 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00171786)
幾田 伸司 鳴門教育大学, その他の研究科, 准教授 (00320010)
寺田 守 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
中西 淳 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10263881)
山元 悦子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20220452)
稲田 八穂 筑紫女学園大学, 人間科学部, 准教授 (20612518)
砂川 誠司 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (20647052)
宮本 浩治 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30583207)
三浦 和尚 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40239174)
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40278594)
冨安 慎吾 島根大学, 教育学部, 准教授 (40534300)
上田 祐二 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50213369)
守田 庸一 三重大学, 教育学部, 准教授 (60325305)
坂東 智子 山口大学, 教育学部, 准教授 (60634764)
櫻本 明美 神戸親和女子大学, その他の研究科, 教授 (70319846)
河野 順子 熊本大学, 教育学部, 教授 (80380989)
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90210533)
若木 常佳 福岡教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90454579)
辻村 敬三 大阪成蹊大学, 教育学部, 准教授 (90712505)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 文学の読みにおけるコミュニケーション / 説明的文章の読みにおけるコミュニケーション / 読書におけるコミュニケーション / 幼小連携 / 教科間連携 / 対教師アンケート / 実験授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
説明的文章の読みにおけるコミュニケーション班、文学の読みにおけるコミュニケーション班、読書とコミュニケーション班、幼小連携のコミュニケーション班の4班に分かれて活動した。 〇説明的文章の読みにおけるコミュニケーション班は、他教科等において応用・活用可能な説明的文章の読解能力のあり方を解明するために、読み物風の教科書教材と科学レポート的な文章について、対小学校教師アンケートとインタビューを実施し、教師の説明的文章文章観を把握した。その結果、教師はこの点について特に見通しをもっていないことが明らかになった。しかし、少数は、事実のみの文章を読む力の重要性を指摘していた。 〇文学の読みにおけるコミュニケーション班は、本年度の研究成果としては、読みの対象(物語内容/物語言説/物語行為)をモデル化し、読みに用いられる分析の用語を検討した。検討をもとに、中学校三年生を対象とした「高瀬舟」のモデル授業案を作成し、実施し、学習者の発言についてのデータ(発話プロトコル)を得た。このデータを分析することで、物語についての分析のことばが機能していく具体的な様相が明らかになった。 〇読書とコミュニケーション班は、小集団での話し合いを伴う読書活動について検討した。2つの内容から構成され、1つは、〈コラボレイティブ・リーディング〉を構成する理論についての検討であり、もう1つは、〈コラボレイティブ・リーディング〉を、特に教師教育の場面において、どのように位置づけていくかということである。この成果を基に、〈コラボレイティブ・リーディング〉についての、教師教育用マニュアル(教師教育者と教師を対象とする)の作成を中心に行っている。 〇幼小連携のコミュニケーション班は、幼稚園サイドと小学校サイドの両方からそれぞれの園児、児童のコミュニケーション能力のあり方を把握し、連携可能なコミュニケーションの事象を取り上げ、分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各班とも国語科教科学習を中心としたコミュニケーションの実相を捉えるために、実験授業、対教師アンケート・インタビューなどの方法を駆使し、また複合させ、信頼性の高いデータを確保している。 研究目的の一つである教科間連携にまで大きくは踏み込んでいないが、国語科と他教科との関係を問うインタビューを実施するなど、仮説導出の作業を進めている。また研究結果を全国学会で発表するなど成果の公表について積極的に取り組んでいること、一般校等で公開の実験授業を提案的に実施していることなど、研究成果に基づく社会貢献を進めている。 また幼小連携に関しては、幼稚園段階のコミュニケーションの実態の把握、小学校入門期段階のコミュニケーションの実態の把握を進め、園児・児童の実際的なコミュニケーションのあり方の解明を進めている。 研究手法として、研究仮説の設定、研究仮説に関わる先行研究・先行実践の把握、研究仮説実証のための実験授業の実施、その検証をこれまで積極的に用いてきたが、本年度からは教材の自作、対教師アンケート・インタビューなどの調査方法も導入し、より総合的な研究体制を築くように図っている。 なお、今回科研プロジェクトに引き継がれている前回までの科研の研究成果を『言語コミュニケーション能力を育てる 発達調査をふまえた国語教育実践の開発』を科学研究費補助金の出版助成を受けて出版し、その成果を公開した。これは、今回の科研の基礎理論・基礎研究方法を再検討する意義があったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として研究成果の質的な向上と集約を図ることに取り組む。 ○説明的文章の読みのおけるコミュニケーション班では、自作による事実を中心とした科学レポート的教材を用い、小学校、中学校(これは本年度実施済み)、高校、大学の読みの調査、実験授業を実施し、他教科等への応用・活用可能な説明的文章の読みの能力のあり方、その授業方法について探求を深める計画である。 ○文学作品の読みにおけるコミュニケーション班では、読みの分析において用いられる用語について実態把握に基づいて実践化できるものを開発し、授業方法の開発へと高めていく計画である。 ○読書におけるコミュニケーション班では、〈コラボレイティブ・リーディング〉についての、教師教育用マニュアル(教師教育者と教師を対象とする)の作成を進める。このマニュアルは、【理論編】と【実践編①/教師用冊子】【実践編②/教師教育者用冊子】とからなり、理論面から実際に運用する方法までを網羅したマニュアルとして作成するものである。マニュアルの作成にあたって、理論編については、〈コラボレイティブ・リーディング〉において想定する読書モデルを設計し、検討を進めている。実践編については、教員を対象とした講習等での試験的な実施の結果や、学習者を対象とした授業の検討結果等からのフィードバックを得て、作成を図っていく計画である。 ○幼小連携班では、多様な幼稚園児のコミュニケーションの実態把握を精密に進め、一定の類型、法則的事象の把握などを図り、小学校段階への接続のための指標を作成していくことを予定している。
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Causes of Carryover |
物品費が超過した件は、不適切な支出ではなく、実験授業に必要な文献の購入費、実験授業・実態調査の結果保存のための記憶媒体の購入費、その処理のための消耗品費などのために支出したことが理由である。 旅費が予定額を下回ったことは、研究会合自体は、予定数よりも多く行われたが、出張期間を短縮したり、予定地よりも利便な場所で行ったことで結果的には予定よりの安価で実施できたことが理由である。人件費が予定額を下回ったのは、実験授業が年度末に行われ、その処理のための作業補助者が確保できず、分担者自らがその役割を担ったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第3年度は最終年度に当たるので、研究成果の集約が必要である。そのためには、研究成果を可視的に示す必要がある。その作業補助として人件費を積極的に使用する計画である。また研究会合も予定額を活用して、回数の確保、参加人数の確保に留意して、十分に研究成果が可視化できるように計画的に使用する。
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Research Products
(28 results)