2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25287081
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
平賀 晴弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (90323097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 哲也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (10391707)
堀金 和正 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10406829)
福田 竜生 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (80354984)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遍歴電子磁性 / スピンダイナミクス / 中性子散乱 / 単結晶育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.高エネルギー磁気非弾性散乱 (1)J-PARCのBL12にて、TN以上の常磁性状態における金属Crの高エネルギー磁気非弾性散乱を測定し、およそ100meVの磁気励起強度が低下することを見出した(平賀、福田)。前年度までにJ-PARCのBL12で採取していたCrの低温磁気非弾性散乱データを整理し、第16回Crossroads研究会「電子物性研究とその将来」で口頭発表を行った(平賀)。(2)前年度までにJ-PARCのBL11で観測した鉄系超伝導体1111系の磁気励起と水素トンネル振動励起を解析し、「2015年度量子ビームサイエンスフェスタ」でその成果を発表した(平賀)。これまでに観測していた鉄系超伝導体122系の高エネルギー磁気励起を解析し、論文執筆を行った(堀金)。 2.偏極中性子非弾性散乱実験の準備 (1)偏極パルス中性子分光器BL23の建設に分担者(横尾)が中心メンバーとして継続して携わった。(2)中性子偏極素子Cu2MnAl単結晶の実機製作に関し、山口泰男東北大学名誉教授と研究協力者である松田雅昌博士(オークリッジ研究所、米)の協力を得て、反射率と偏極率をオークリッジ研究所の原子炉中性子により最終チェックする段階に至った(平賀、松田)。 3.大型単結晶試料合成 (1) Fe(1-x)Ga(x)の大きな磁歪とスピンダイナミクス、フォノンとの関連を探るため、大型単結晶育成を開始した。福田承生東北大学名誉教授との共同研究により、x=0.1と0.2の単結晶育成に成功した(平賀)。(2)金属強磁性体Fe3Siのスピンダイナミクスを調査するため、東北大学金属材料研究所・新素材共同研究開発センターと単結晶育成に関する議論を行い、1cmサイズの大きさの単結晶化までこぎ着けた(平賀)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.論文発表までを達成目標としていたが、大量のデータを解析するのに大幅に時間を取られた。現在は、平賀、福田、堀金、それぞれが論文1本ずつを抱えて執筆・投稿の段階にある。 2.研究用原子炉JRR-3の停止に伴い定常偏極中性子による磁気モード解析並びに偏極子開発を遂行できなかった。加えて、代替計画として考えていた海外の原子炉実験施設ORNL(米)とHANARO(韓国)でも原子炉運転が停止し、中性子ビームが供給されなかった。さらに、Cu2MnAl偏極子評価実験データを再解析したところ、従来用いられている相図に誤りのある可能性を見出した。予想しなかった状況ではあるが、偏極子の性能向上に正しい相図を決めることは重要であり、中性子・X線での追加実験が必要となった。一方、J-PARC/MLF内へ新たに建設中の偏極パルス中性子分光器の装置責任者として、横尾がその測定手法開発に継続して貢献することができた。 3.当初計画通り、鉄を含む2種類の合金の単結晶育成に成功した。J-PARCでの実験を目指し、現在、課題申請書の作成を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.来る最終年度では、パルス中性子実験で得た高エネルギー磁気励起データの論文発表を最優先事項とする。 2.偏極子に用いるCu2MnAlの相図を、中性子・X線回折により再調査する。J-PARC/MLFの偏極パルス中性子分光器の建設に関与し、これまで通り中心メンバーとして推進する。 3.新たに育成した試料については、順次実験課題を申請し中性子非弾性散乱実験を行う。
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Causes of Carryover |
海外原子炉施設での中性子実験を想定していたが、原子炉停止のため海外出張を取りやめた。その分の「旅費」が未使用となった。それに伴い、海外実験用の結晶育成・評価に関する薬品購入やサンプルホルダー製作が無くなったため、「消耗品」が一部未使用となった。また、大量のデータ解析で論文執筆が遅れたため、「その他」に含めていた英文校閲の出費も無かった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用に回した55万円を、次のように用いる。 外国旅費:海外実験@研究用原子炉HANARO(韓国)、25万。消耗品:結晶育成用の原料薬品、高純度ガス、サンプルホルダー、25万。その他:英文校閲、5万。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Science from the Initial Operation of HRC2015
Author(s)
S. Itoh, T. Yokoo, T. Masuda, H. Yoshizawa, M. Soda, Y. Ikeda, S. Ibuka, D. Kawana, T. J. Sato, Y. Nambu, K. Kuwahara, S. Yano, J. Akimitsu, Y. Kaneko, Y. Tokura, M. Fujita, M. Hase, K. Iwasa, H. Hiraka, T. Fukuda, K. Ikeuchi, K. Yoshida, T. Yamaguchi, K. Ono, Y. Endoh
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Journal Title
JPS Conference Proceedings
Volume: 8
Pages: 034001 1-6
DOI
Peer Reviewed
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