2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムボース・アインシュタイン凝縮体の超精密光操作に関する研究
Project/Area Number |
25287102
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
盛永 篤郎 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90246687)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ボース凝縮 / 原子レーザー / 超放射BEC / 量子渦 / 原子干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を光で精密に操作する原子光学の研究を行い、ボース凝縮体の応用の可能性に資することを目的とする。そのため、初年度、申請者らがこれまで開発してきた多原子数ナトリウムBEC発生装置を安定に再現性良く動作できるように改良した。これを用いて、再現性良く繰り返し発生させたBECに、申請者らがこれまで研究してきた以下の3つの光操作を精密に行うことで、原子レーザー発振、超放射原子干渉計、集団運動・量子渦発生について研究する。 平成26年度は以下の研究を行い、成果を得た。 ① 原子レーザーの研究:2光子誘導ラマン光を異なる2方向から照射して、ゼーマン状態間に、誘導ラマン、超放射ラマン、超放射が生じる実験条件を見つけた。特に、超放射ラマンの発生は最初の観測である。誘導ラマン遷移を用いて、原子レーザーを30 ms間連続発振することに成功した。 ② 超放射原子干渉計の研究:赤方離調した短パルス光を照射して生じる超放射の発生位置について調べた。これを利用して、速度ゼロの原子集団の干渉条件を求めた。また、ボース凝縮体を連続観測するために非破壊的に観測できる位相コントラスト法の開発に成功した。 ③ 集団運動の研究:シザースモードと四重極モードのモードカップリングについて実験的に求め、交互発振のメカニズムを明らかにした。また、磁場を振動させることで生じるBECの重心運動を用いて、マヨラナ遷移で放出されるm=0状態のBEC中に量子渦が発生する実験条件を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原子レーザー、超放射原子干渉計、集団運動、いずれの課題も成果を得て、最終年度詳細に評価・解析することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度(最終年度)は、BECを用いた3つの光精密操作に対し、それぞれで得られた実験結果を評価して、解析し考察する。これらの結果を論文にまとめ、成果の発表を行う。多原子数ナトリウム原子BECの高安定生成方法について詳細な解析を行い、報告書として取りまとめる。
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