2014 Fiscal Year Annual Research Report
太陽定数の海底下へのインパクト:光合成と海底下のアーキアワールドのリンケージ証明
Project/Area Number |
25287149
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高野 淑識 独立行政法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 主任研究員 (80399815)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機分子 / 性状未知アーキア / 生理生態 / アミノ酸の窒素同位体比 / 従属栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
栄養基質のうち、アミノ酸の炭素および窒素の代謝プロセスでのトレースを行い、特に分岐鎖アミノ酸の重要性について調査研究を進めた。また、アミノ酸の分子レベル同位体比の高精度分析を確立するために、一連のPreparative LC法による分析最適化と応用的研究を進めた。分析法の原理の概要を述べる。移動相にイオンペア剤(例:フッ素化直鎖アルキル基を有するカルボン酸等)を添加することにより目的化合物にイオンペアが形成され、カラムへの保持が十分に行われる。様々なイオンペア剤を任意に添加することによって、分離条件を最適化することが可能になる。また、揮発性を有するイオンペア剤を選定することにより、ソフトイオン化を主目的とした電子スプレーイオン化質量分析計 (ESI-MS)へ導入する最適化を行った。さらに、前処理の最適化により、試料由来のマトリックス効果の軽減化、夾雑物溶出に伴うイオンサプレッション効果やエンハンス効果の最小化を図ることに成功した。 LC/MSには、GC/MSのような統合マススペクトルライブラリー (例えばNISTスペクトルデータベース:http://www.nist.gov/)が存在しない。このため、個々のLC/MSユーザーが、各自の目的に合わせて、化合物標品から初期検討と最適化のすべてを行っている。このような現在のLC/MSを取りまく状況を少しでも前進させるために、重要な有機分子のマススペクトルデータを示しておくのは将来に有益であると考え、現在、スペクトルデータを技術論文としてまとめるべく、執筆を進めた。関連内容として、国内学会において、1件の招待講演を行った。 高野 淑識(招待講演):有機分子から見えてくる性状未知アーキアの生理生態とメタンのダイナミクス(2014年水環境学会シンポジウム、滋賀県立大、2014年9月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ酸(Amino acids)や脂質(Intact Polar Lipids)の分子レベル高分解能解析を行うために、前処理と分離の際に同位体分別が無い分析条件の最適化を行ってきた。アミノ酸分子レベルあるいは立体異性体分子レベルでの窒素同位体比の挙動についてもマトリックス効果を除去し、高精度かつ高確度で記載することが可能となった。アミノ酸の炭素同位体比の検証についてはこれまで触れていないが、分離条件と精製法の最適化を行うことにより、炭素同位体比の動態を含め、アミノ酸分子レベル放射性炭素年代測定への展開に発展できる手がかりを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、有機化学的な解析に加えて、次世代シーケンサーを用いた代謝マップの構築を進める。とりわけ、代謝経路の酵素反応を検証するために、Enzyme Commission code (EC)の記載と実際に観察された分子レベル解析の結果を相補的に評価するのがねらいである。一連のDNAおよびRNA抽出・精製・モレキュラーシーケンス解析に関わる技術補佐員1名を雇用することを予定している。 次に、海底下での有機分子の動態と生物地球化学サイクルの検証を進める。ハイドレート形成の主役であるメタン生成アーキアが、メタン生成するために必要な補酵素ファクター430 (F430: cf. Kaneko, Takano et al., Analytical Chemistry, 2014)の応用的な展開を行う。この分析開発により、(1) 補酵素分子レベルの生元素同位体比解析が可能になること、(2) 微量必須金属であるNiの挙動を読めること、が期待される。
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Causes of Carryover |
技術スタッフを雇用していた。次年度分について、人件費への内訳が大きくならざるを得ず、物品費とその他経費から補填を行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度も技術スタッフを1名雇用する。
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[Journal Article] Quantitative analysis of coenzyme F430 in environmental samples: a new diagnostic tool for methanogenesis and anaerobic methane oxidation2014
Author(s)
Kaneko, M., Takano, Y., Chikaraishi, Y., Ogawa, N.O., Asakawa, S., Watanabe, K., Shima, S., Krueger, M., Matsushita, M., Kimura, H., Ohkouchi, N.
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Journal Title
Analytical Chemistry
Volume: 86
Pages: 3633-3638
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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