2013 Fiscal Year Annual Research Report
電界誘起型マイクロナノバブルインジェクションメスによる機能創発
Project/Area Number |
25289059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山西 陽子 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50384029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 悟史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70414696)
川原 知洋 九州工業大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20575162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロナノ気泡 / 遺伝子導入 / インジェクション技術 / 三次元加工 |
Research Abstract |
本研究では研究代表者が発見した指向性電界誘起マイクロナノバブル列現象を活用し,細胞・生体組織等を低侵襲・高精度に三次元加工し,同時に気泡の気液界面に封入した試薬や遺伝子を導入するというこれまでにない新しい局所加工・インジェクション法の機能創発を目的として研究を遂行している.研究実施計画において平成25年度はMEMS 技術を利用した高精度加工のための微細電極製作・同心軸多層管構造を有するインジェクション部加工を行ない安定した微細な気泡生成のための電極構造の最適化を目指す研究を遂行した.その結果従来の同心軸タイプのプローブでなく,加工用メス先を狭窄流路に加工する新しい電極構造についての着想を得るに至り,ホールディングピペットの形状を微細化したものをガラスマイクロ加工技術によって設計製作することに成功した.この狭窄流路タイプの加工プローブをインジェクション用の同心軸ガラス管内に組み込んで作成した新しい電界誘起気泡インジェクションメスは先端のオリフィス径を数μm以下に落とすことができ,かつ強靭性を持った壊れにくいプローブであり,従来タイプに比較して遥かに低侵襲に細胞へ試薬をインジェクションすることに成功した.またインジェクションメス先端より発生する流体の流れは,狭窄流路にすることにより,高速・高圧力噴流にすることが可能であり,幅広いダイナミックレンジの固さの細胞に対応することのできる可能性を持っている.このインジェクションメスを使用することで固い細胞等や距離が離れた箇所からのインジェクション時に気泡がインジェクション対象物に跳ね返ってしまうという従来タイプにみられた欠点を克服することができた.今後はこの改良タイプの安定気泡発生インジェクションメスを使用して幅広い加工対象へのインジェクション技術に挑戦する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では研究代表者が発見した指向性電界誘起マイクロナノバブル列現象を活用し,細胞・生体組織等を低侵襲・高精度に三次元加工し,同時に気泡の気液界面に封入した試薬や遺伝子を導入するというこれまでにない新しい局所加工・インジェクション法の機能創発を目的として研究を遂行している.従来のインジェクションメス先端のガラス加工部分を改良して開発した狭窄流路タイプのインジェクションメスは,その強靱性や高速・高圧力噴流とともにキャビテーションを発生するという新しい技術によって,これまでにない加工対象へのインジェクションを行うことができる可能性を持っている.平成25年度の研究目的であるインジェクション部の改良と安定微細気泡の生成において改良型メス製作に成功したので,研究は概ね順調に進展しているといえる.今後はこの改良型インジェクションメスを用いて幅広い加工対象への遺伝子導入などに取り組んで行く予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
狭窄流路タイプのインジェクションメスの改良に成功したので,今後はアフリカツメガエルなどの細胞へのインジェクション実験に移り,卵割した細胞への局所位置へ狙ったインジェクション実験を行い,その生体適合性についても評価を行うものとする.また数mmsuスケールのアフリカツメガエルなどの大きな細胞だけでなく,ウシ卵子などの100μmオーダの小さな細胞への遺伝子導入技術についても開発をスタートする.畜産草地研の赤木研究者とともに,より低侵襲な遺伝子導入技術について改良を進めていく.また印加する電気パルスのパラメータ制御による低侵襲細胞加工についてのアプローチについても九州工業大学の川原研究者とともに研究を進めていく. この改良型インジェクションメスを用いることで距離を離してインジェクションできる可能性が高まったことにより,今後は大きな目標である空気中での生体組織へのインジェクション技術開発についても平行して進めるものとする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
納品予定であったデータ解析用のノートPCの納期が遅くなったため次年度使用額が生じてしまったため. 次年度使用額については遅れていた納期のノートPCが納品されたため,予定通りデータ解析用ノートPCとして購入済みである.
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Research Products
(11 results)