2013 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素法によるびまん性軸索損傷診断のための立体共培養神経細胞の耐衝撃性評価
Project/Area Number |
25289064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青村 茂 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (20281248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中楯 浩康 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (10514987)
角田 陽 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60224359)
藤原 敏 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20173487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | びまん性軸索損傷 / 立体共培養 / 神経細胞 / 耐衝撃性評価 / 有限要素法 |
Research Abstract |
人間が頭部に衝撃を受けた際に生じる外傷性脳損傷のひとつであるびまん性軸索損傷は診断が困難であり,発症を予測することが救命医療や法医学診断上の課題となっている. 本研究では,まず神経軸索損傷と力学的入力との定量的な関係性を明らかにすべく,β-APP (β-Amyloid precursor protein;βアミロイド前駆体タンパク質)に着目し,頭部外傷時の脳組織変形による神経細胞の引張挙動を模擬可能な衝撃引張ひずみ負荷装置を用い,引張後の神経軸索のβ-APP蓄積を染色,観察することで軸索損傷を定量的に評価した.その結果,軸索輸送機能に障害をきたすひずみとひずみ速度を推定し,さらに衝撃ひずみの大きさに関係なくある一定の間隔で軸索上に瘤が生成されることを示した. また微細加工技術を用いて1本の神経突起の伸長方向を制御し,衝撃負荷方向の違いによる細胞の損傷評価を行った.マイクロトンネル構造を利用して神経突起の伸長方向を制御し,神経突起に対して0°, 45°, 90°方向から衝撃を負荷することで,衝撃負荷方向の違いによる細胞の損傷評価を行った.0°方向,90°方向と比較して45°方向からの衝撃では,瘤数の割合,退縮割合,断裂割合が減少したことを確認した.その結果,神経突起に対する衝撃負荷方向の違いによる細胞損傷評価を行うことが可能な実験系を確立し,細胞損傷程度において,神経突起に対する衝撃負荷方向が重要であることが確認された. 以上の結果,2次元培養を元に方向制御された神経細胞の受傷の評価法,および幾何学的な条件を考慮した受傷の力学条件を定量的に評価する体制を確立した.引き続きぺリサイト,アストロサイトを混合した3次元神経細胞共培養に取り組み,共焦点顕微鏡を用いて3次元的に経過の観察を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画は概ね順調に遂行されており、一定の成果も得られている.ただし,神経細胞の受傷の評価において,β-APP(β-Amyloid precursor protein)の計測の際に,より精度がよくわかりやすい方法を構築したので,そちらに注力し3次元培養を次年度に持ち越した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに微細加工による神経軸索の方向の制御,受傷後の神経軸索に発生する瘤による受傷の評価方法を確立したので,次年度はぺリサイトおよびアストロサイトとの混合による3次元共培養と共焦点顕微鏡による3次元観察および評価法の研究にとりかかる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
微細加工による培養神経細胞軸索の方向制御およびβ-APPの観察による受傷の評価に予想以上の進展が見られ,こちらにより多くの資源を割いたため当初計画をしていた3次元共培養に要する費用との間に差額が生じ,次年度に繰り越した. 次年度には本研究テーマの本題である神経細胞およびぺリサイト、アストロサイトとの3次元共培養に取り掛かるため,今年度から繰り越した額を3次元共培養および3次元の観察法の開発に割り当て,当初の計画通りに執行する予定である.
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Research Products
(5 results)