2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ層マニピュレーションによる高温対応次世代Dyフリー磁石の開発
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25289090
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| Research Institution | Nagasaki University |
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Principal Investigator |
福永 博俊 長崎大学, 工学研究科, 教授 (10136533)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 正基 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20274623)
森村 隆夫 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30230147)
柳井 武志 長崎大学, 工学研究科, 助教 (30404239)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ナノコンポジット / 磁石 / Sm-Co / 積層構造 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究において，層厚10～20 nm のSm-Co層とα-Fe層を交互に780層積層した等方性Sm-Co/α-Feナノコンポジット厚膜磁石を作製し，その(BH)max値が室温で100 kJ/m^3 となること，及び 150℃ではその(BH)max値が(Nd,Dy)-Fe-B急冷フレークのそれを越えることを明らかにし，高温に於けるSm-Co/α-Feナノコンポジット磁石の優位性を実験的に示した。しかしながら，得られた(BH)max値はマイクロマグネティクスに基づく計算機シミュレーションから予測される限界性能値の1/3程度であった。
本年度の研究においてこの原因について調査したところ，(1)作製した厚膜にはPulused Laser Deposition (PLD)法特有のドロップレットが存在し積層構造を乱している部分があること，(2) Sm-Co層の結晶化のための熱処理時にSm-Co層とαーFe層間で原子拡散が起こり境界付近が目的の組成になっていないこと，が明らかになった。
そこで，ドロップレットを削減するために，飛行するドロップレットを補助レーザを用いて再アブレーションする装置を構築し，補助レーザの照射タイミングを制御することによりドロップレット数を削減することに成功した。この手法をSm-Co/α-Feナノコンポジット厚膜に適用したところ，(BH)max値を約10%改善することができた。また，Sm-Co層とα-Fe層間に高融点のバッファー層（タングステン）を挿入することにより，保磁力を増加させることができた。
更なる (BH)max の増加のために，異方性膜の作製法を検討した。その結果，昇温した基板上にSm-Co/α-Feナノコンポジット厚膜を成膜することにより，異方性厚膜を作製できることが明らかになった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究を元に，以下の各項目が達成され，ほぼ，当初の計画通りに研究を進めることができた。
１．微細組織の検討から，実験的に得られた(BH)max値とマイクロマグネティクス理論に基づいた計算機シミュレーションで得られた(BH)max値の差の原因を明らかにすることができた。
２．飛行するドロップレットを補助レーザを用いて再アブレーションする装置を構築し，ドロップレット数を削減することに成功した。この結果，Sm-Co/α-Feナノコンポジット厚膜の(BH)max値を約10%改善することができた。
３．Sm-Co層とα-Fe層の間に高融点のタングステン層（バッファー層）を挿入することにより，層間の原子拡散を抑制し，保磁力を増加させることができた。
４．(BH)max のさらなる増加のために，異方性膜の作製法を検討し，昇温した基板上にSm-Co/α-Feナノコンポジット厚膜を成膜することにより，面内異方性厚膜を作製できることを明らかにし，高性能異方性Sm-Co/α-Feナノコンポジット磁石作製のステップを踏み出した。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度成果を元に，ドロップレット削減及び高融点バッファ層による層間原子拡散の抑制を進め等方性膜の一層の高性能化を進める。さらに，異方性ナノコンポジット磁石の作製を加速する。また，SCo5 系に加えて，Sm2Co17系のナノコンポジット厚膜磁石の作製を進め，磁石の高残留磁束密度化を加速する。
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